「子供の命を無駄にしない」 世界津波の日、各地で催し

国連が11月5日を「世界津波の日」と定めたことに合わせ、各地で同日などに、津波災害に関わる催しや発表があった。

東日本大震災遺構となった宮城県気仙沼向洋高校の校舎。特別教室に車などが流れ込んだ(宮城県気仙沼市、今年3月11日撮影)

世界津波の日は1854年、旧暦の11月5日に現在の和歌山県で起きた安政南海地震で、1人の商人が稲の束に火をつけて人々に津波を知らせ、多くの人命を救ったとされる「稲むらの火」の故事にちなむ。日本が提案し、国連総会で制定された。

国土地理院は同日、津波災害関連の自然災害伝承碑27基をウェブ地図「地理院地図」で新たに公開。写真や碑名、災害名と併せて、詳しい所在地や伝承内容などを紹介している。

同院は今年6月、42都道府県109市区町村に建立された328基の自然災害伝承碑をウェブ地図上で公開していた。今回の追加について、「津波災害は地域によって数百年、数千年に1度しか発生しないこともあり、自らの経験だけでは教訓に基づく防災行動を取ることが難しい。先人が自然災害伝承碑として残した過去の教訓を、災害への備えとして活用してほしい」としている。

また、「稲むらの火」の故事が伝わる和歌山県広川町では同日、地域の小中学生が堤防に土をまき、安政南海地震で犠牲になった人たちを、住民らと共に追悼した。その後、30年以内の発生確率が70~80%とされる南海トラフ地震を想定し、津波からの避難訓練を実施した。

東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた宮城県気仙沼市では、「世界津波の日」に先立つ11月3日、被災した宮城県気仙沼向洋高校の校舎を資料館とした「東日本大震災遺構・伝承館」で、震災時の記録映像を上映。その後、小学生が自ら作成した防災マップについて発表し、1次避難場所の確認などをした。

また、東日本大震災の津波で児童74人と教職員10人が犠牲になった宮城県石巻市立大川小学校の遺族らがつくった「大川伝承の会」では、共同代表の鈴木典行さんが11月4日、静岡市内で講演。静岡県弁護士会が主催した講演会で、市民約300人が参加した。

鈴木さんは同校6年生だった次女を失った。生き残った児童の証言から、「子供は『津波が来る。死んでしまうから山へ逃げよう』と何度も先生に言ったそうです」と話し、「避難するための時間も情報も手段もあったのに、学校の判断ミスで命を守れなかった」と指摘。

「被害を繰り返さないために、学校や教員には学校防災の実態を確認し、避難場所の確保を含め防災改善への意識を高めてほしい」と訴えた。

同校の津波被害を巡っては、児童23人の遺族が市と県に約23億円の損害賠償を求めて起こした訴訟で、最高裁が今年10月、市と県の上告を退ける決定をし、約14億円の賠償を命じた2審判決が確定した。


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