【工藤勇一校長×日野田直彦校長】新時代の学校とは

最先端の教育イノベーターが集結するグローバルカンファレンス「Edvation×Summit 2019」が11月4日、5日の両日、東京都千代田区立麹町中学校などを会場に開催され、教員や教育関係者ら延べ約3300人が来場した。

新時代の学校について意見を交わす工藤校長と日野田校長(左)

初日は、同中学校の工藤勇一校長と武蔵野大学中学校・高校の日野田直彦校長が「新時代に向けての学校イノベーション戦略」をテーマに対談。モデレーターは国立教育政策研究所の前所長である常盤豊氏が勤めた。

工藤校長は「問題は今の学校の履修主義にあり、絶対に変えなければいけない。学習内容を修得して進級する仕組みや、異学年の生徒や大人たちも一緒に学べる環境が必要。1日は24時間しかない。学校で学び、塾で学び、さらに家庭で宿題をこなすという今の形ではだめだ。多様な子供たちに個別最適化した学習を提供し、多様な人材を輩出できる環境をつくらなければいけない」と強調。

日野田校長は、世界中にユーザーをもつフェイスブックを例に挙げ、「フェイスブックも最初は、多くの人に『怪しい』と思われただろう。いい意味で『大丈夫だろうか』と思われるようなものが、社会にインパクトを与えるかもしれない。ならば、学校は実験場であるべきだ。子供たちが好きに体験でき、安心して失敗できる場所になる必要がある」と話した。

また、学校と民間との連携方法についてアドバイスを求められた日野田校長は「教師の多くが(授業の)フィードバックを受ける経験が少ない。そんな教師の心理的安全性を担保しながら、フィードバックを受ける機会を増やすための手段として企業と手を組んでいる」と明かした。

具体的に注意していることとして、「現場の教師の意欲をそがないよう、企業に全てを任せるのではなく、教師と企業がコラボする形をとる。まず30%くらいの完成度で案をお互い出して、それをフィードバックし合って授業をつくり出していく」と説明した。

工藤校長も「民間と連携するときに、民間と組むことを目的にしてしまうと企業と学校の狙いがずれて失敗する」とし、麹町中学校の職業体験では「企業の方には『世の中はまんざらでもなく、大人はすてきだ』と徹底的に教えてください――と、この一点だけ伝えている。そうすると学校の育て方と企業の受け入れ方の目的が一致し、子供たちはちゃんと成果をあげて戻ってくる。自分の価値観を押し付けると、教育の成果は上がらない」と指摘した。

さらに将来的な学校のあり方や役割について問われた両校長は、そろって「学校は手段である」と回答。

日野田校長は「教育は学校以外でもできる。子供たちの知的好奇心を育み、もっと学びたい、世の中に貢献したいという意欲がつけば、その手段として勝手にツールやスキルが身につくだろう」と持論を展開。

工藤校長は「自分の能力を伸ばすだけであれば、学校以外でもできるだろう。自分で物事を考え、行動する力や、他人を尊重する力は、これからの時代ますます必要となる。子供のうちからいろいろな人がいることを受け止め、対話や対立の中から答えを導き出す習慣がついた人材を育てなければいけない。その点、学校は大きな役割を担っている」と言葉に熱を込めた。