【工藤勇一校長】全員担任制はすぐできる 教育長らに講演

ブルーシー・アンド・グリーンランド財団(B&G財団)は11月6日、第16回全国教育長会議を都内で開き、東京都千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長が講演した。

教育長らを前に、学校教育の本質をテーマに講演する工藤校長

工藤校長は、同校の数多くある改革の中でも、どの自治体、学校でもすぐ始められるものとして、固定担任制の廃止(全員担任制)を挙げるとともに、参加した教育長らに、学校教育の本質に立ち返った施策の重要性を訴えた。

工藤校長は「学校や教育委員会では手段の目的化が行われ、本質とは真逆のことをやっている」と批判。その具体例として、基礎学力を身に付けさせるために、テストのつまずいたところを繰り返させる指導を挙げ、そのような指導では「学力は向上しても、自ら学ぶ自律した人間の育成という本質的な目的は達成できない。学校はいつまでも子供たちに与え続けなければならなくなる」と強調した。

また、固定担任制を廃止した狙いを紹介。「固定担任制は担任の権限と責任が明確で、他の学級の担任よりも信頼されるには、他の学級よりいいサービスをしないといけなくなり、保護者や生徒の要求に応じてますます過剰になる。学級王国をつくりたがり、価値観を押し付けるようになる」と問題点を指摘した。

そこで麹町中では、学年で各学級を受け持つ「全員担任制」を導入。学級担任が日によって入れ替わったり、落ち着きのない学級には複数の教員が入ったりするようにした。さらに面談では、子供や保護者が面談したい教員を「逆指名」できるようにした。

工藤校長は「全員担任制で学級崩壊は劇的に減った。チーム医療と同じで、さまざまな教員が関わることで、学校の中でベストの対応ができるようになる。職員室で生徒の悪口を言う教員もいなくなり、雰囲気も変わった。子供の変化にもすぐに気が付くようになり、チームで声掛けをするようになった」と成果を強調した。

また、教育長らに対し、「文科省が学習指導要領を定め、それに現場が従う構図はもうやめるべきだ。現場が何を大事にして、教育をどう変えていくかを考えなければいけない。文科省に対して教育委員会が『もうそろそろ変えましょう』と声を上げなければいけない」と投げ掛けた。


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