特別支援教育でのICT活用 有識者会議が議論

これからの特別支援教育の在り方を検討している文科省の有識者会議は11月8日、第3回会合を開き、特別支援教育でのICT活用について議論した。ICTを活用した障害者の学習支援の取り組みについて発表した中野泰志慶應義塾大学教授は「社会や学校でのICT利用を当たり前にし、インクルーシブな社会の実現を目指すことを、この有識者会議で検討すべきだ」と提言した。

特別支援教育でのICT活用の可能性を検討する委員ら

タブレット端末で教科書や教材を閲覧できるアプリ「UDブラウザ」の開発などで知られる中野教授は、障害のある人にとってのICTの意義には、「心身の機能を補完する道具」と「インクルーシブな社会の再構築」の2つの側面があると強調。

「視覚障害のある子供が、タブレット端末を使って文字にアクセスできるようになったが、小さな文字が印刷されたものを読むという社会にある障壁は変わっていない。もし教科書などが最初からデジタルであれば、いろんな子供がアクセスでき、社会的障壁は極めて小さくなる。Society5.0時代の社会や学校では、ICTの利用が当たり前となり、インクルーシブな社会が実現されているはずだ。そういう視点を、この有識者会議で検討してほしい」と述べた。

また、有識者会議委員の金森克浩日本福祉大学教授は、特別支援学校におけるICT活用の課題を報告。特別支援学校で教員が授業でICTを活用したくても、ネットワークのセキュリティー環境が厳しく、アプリの使用や外部コンテンツへのアクセスに制約を受けている状況だと指摘した。

金森教授は「特別支援教育のセンター的機能を担っている特別支援学校では、障害のある子供たち一人一人にとって効果的なICT機器の活用に精通したスペシャリストを複数配置する必要がある」と提言した。

委員からは「学校から社会に出る実体験の機会と同時に、『社会を学校に持ってくる』ことが大事であり、その役割を担っているのがICTによる遠隔授業だ。いま全国各地の特別支援学校と、しょうゆ工場や国立天文台などをつないだ社会見学を実施している。遠隔授業は事前準備や外部との連携、機器のセッティングなど、実施にはまだ負担が大きい」「通級指導では、タブレットやICT機器が十分にそろっていないのが現状だ。ICTがあれば、子供に合わせた指導で有効なツールになる。早急に学校に導入し、どう使っていくかを検討することが重要だ。ICTで確実に子供の学びは変わる」「障害のある教員への合理的配慮も検討すべきだ。例えば、視覚障害のある教員は、拡大読書機や点字編集ソフトなどを自己負担しているケースがある。こうした状況の改善策や、障害のある教員を支援するスタッフの配置を検討してほしい」などの意見が出た。


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