休日のまとめ取りに有効? 変形労働時間制導入の是非

1年単位の変形労働時間制の導入を盛り込んだ給特法改正案について、衆院文部科学委員会は11月12日、土日を含めて16日間連続の学校閉庁日を設けた岐阜市の早川三根夫教育長や、教員である夫を過労死で亡くした工藤祥子・神奈川過労死等を考える家族の会代表らに参考人質疑を行った。4人の参考人は、教員にとって休日のまとめ取りが必要である点では共通したが、その手段としての、1年単位の変形労働時間制の導入に対しては賛否が分かれた。

早川教育長は岐阜市が昨年から始めた、土日を含め16日間の学校閉庁日の成果を説明し、「私が心苦しく思うのは、近年特に多く任用している臨時的任用職員が、任用期間によっては年次有給休暇が不足する場合があり、閉庁中の学校に勤務するか自主研修での対応となっている点だ。もし変形労働時間制があれば休むことができると思う。変形労働時間制の是非がクローズアップされているが、まずは先生方に夏休みにきちんと休んでもらう本市の取り組みのように、導入にあっては夏休みを取得しやすい環境をセットで考えていく必要がある」と述べた。

また、郡司隆文・全日本教職員連盟委員長は「現在、各学校では業務改善が進み成果も上がってきている。しかしながら現時点では、通常勤務時間内で全ての業務が終了することは現実的には不可能だ。そして現在は、このはみ出た部分の代替は何もない。はみ出た部分を休日のまとめ取りに代えることによって、自己研修やリフレッシュが可能になる」と変形労働時間制の導入に歓迎の意向を示した。

一方、工藤氏は1978年から現在までに、教員の脳・心臓疾患での死亡事案は、把握できる限りで35件発生し、そのうち5月が3人、6月が4人と、夏休み前が最も多いと指摘。休日のまとめ取りは賛成とした上で、「1年単位の変形労働時間制は1日単位、週単位の生活リズムが崩れ家庭生活にも大きな支障が出る。また、1日で過労が回復できるかという問題もある。1年単位の変形労働時間制をこの短期間で成立させることには反対だ。反対の多い現場の声を聞き、まずは業務改善を進めた上で、休日のまとめ取りのみを検討すべきだ」と訴えた。

さらに、日本労働弁護団に所属する弁護士の嶋﨑量氏は、1年単位の変形労働時間制は導入すべき必要性がないと反対の立場を表明した上で、給特法そのものの抜本的な改正の必要性を強調した。

同氏は「改正の狙いである休日のまとめ取りには賛成だ。教員に必要なのは残業代ではなく休日だ。しかし、その目的達成の手段として1年間の変形労働時間制は合理性がない。地方公共団体において休日のまとめ取りを可能とする条例の制定を促すような法律を、国会で端的に作ればよい」と指摘した。


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