ビッグデータで学習意欲向上 eラーニング開発者が講演

学習意欲の向上など、eラーニングの成果を確実に保証できる――。e-Learning Initiative Japanが主催する「eラーニングアワード2019フォーラム」が11月13日、東京都千代田区の御茶ノ水ソラシティを会場に始まった。15日まで。初日のこの日は、「第16回日本e-Learning大賞」で文部科学大臣賞に輝いた岡山大学の寺澤孝文教授が、自身が開発したビッグデータを活用した新しいeラーニングシステム「マイクロステップスタディ」について講演した。

開発中の小型専用端末を紹介する寺澤教授

「マイクロステップスタディ」は、漢字や英単語などの暗記学習について、ビッグデータを活用して学習者に合わせて問題を出題・テストするタイミングを管理。個別最適化した学習を提供したり、成績の伸びを可視化し、フィードバックできたりするeラーニングシステムで、すでに岡山県赤磐市や長野県高森町など、一部の自治体や学校で実証研究が進められている。

個人の実力を正確に測定し、その学習成果が確認できるため、特に低学力層の児童生徒が学習意欲を高め、自ら学んでいく効果があるという。

講演で寺澤教授は「『マイクロステップスタディ』は、導入したメリットを子供一人一人が実感できる。確実に成果を保証できるレベルになり、実装化が見えてきた。暗記学習のような知識習得を学校教育から切り離せれば、学校は思考力やコミュニケーションなどを重視した教育に転換でき、教師の指導の在り方も変わる」と強調。学校や自治体に共同研究の参加を呼び掛けた。

また、現在開発中のスマートフォンサイズの小型専用端末を紹介。端末にインストールした学習アプリを利用すると学習履歴が蓄積される仕組みで、タブレット端末のようにスペースを取らないため、学校では机に置きながら使用でき、家庭に持ち帰ることもできる。家庭では特定のアプリしか使用できない制限モードに自動的に切り替えられるため、インターネット上のトラブルの心配もない。

さらに、開発中の小型端末はSIMカードを通信端末ではなく、クラウドサーバーで管理するクラウドSIM機能を搭載しており、比較的低コストの環境を自治体が整備すれば、インターネット環境がない家庭も利用できる。

寺澤教授は「学校に導入されるタブレット端末は家庭に持ち帰ることができず、家庭学習での使用は見込めない。この小型端末はもう一つの選択肢になる」と話した。

主催者によると同フォーラムには、企業や教育関係者ら、3日間で延べ約1万人の参加を見込んでいる。


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