「学校の森を再生させよう」 児童がPBL型授業で挑戦

学校の森を再生させよう――。東京都府中市立府中第三小学校(宇都宮聡校長、児童808人)では、6年生児童が2学期の図工の時間を使い、20年以上手つかずの状態だった学校の森を再生。11月15日に「森びらき」を行った。

「森びらき」を行う児童ら

同校の体育館裏には、手入れされていない森があった。雑草が生い茂り、ヤブ蚊も大量発生、うっそうとしており、これまで学習環境に生かされることはほぼなかった。

図工専科の山内佑輔教諭は、図工でプロジェクト型学習を展開したいと考え、6年生とともに「森を再生するプロジェクト」に取り組んだ。

9月には大地の再生に携わっている専門家を招き、児童らは木や土、森のことを学んだ。実技も教わりながら、草刈りや、平らな地面に雨水の浸透を助けるための水路作りをし、炭や落ち葉、グランドカバーを敷くなどして土壌改善を行った。途中、台風やゲリラ豪雨もあったが、大きな水たまりができなくなったなどの変化を感じ、自分たちが森をつくっている喜びを感じることができたという。

その後は、森ですごす時間をとり、「森ですごす“楽しさ”を持続させるためには、どうすればいいか? 何が必要か?」という課題に対して、児童がいろいろな遊びを検討し、アイデアを出していった。

10月からはそのアイデアを形にするため、竹やわら、廃材、ロープなどさまざまな材料を使って、小屋、竪穴式住居、ブランコ、ハンモック、シーソー、ろ過装置などを、4クラスが共有しながら製作していった。

シーソーをつくったチームは「まず、木だけを使ってできるものを考えた。シーソーは中心を合わせるのが難しかったけれど、公園のシーソーも参考にし、大工さんにアドバイスしてもらって、いいものが作れた」と振り返った。

また、木の幹を利用してベンチを作ったチームは「座る位置を普通よりも少し高くして、森全体が見渡せるように工夫した。森の特等席になった」と達成感いっぱいの表情で話した。

水路を作り、土壌改善を子供たちの手で行ってきた(山内教諭提供)

山内教諭は今回のプロジェクトについて「授業の進め方を私が提示したことは一度もなかった」と話し、「毎時間、一人一人が自ら課題を持って主体的に取り組めていた。何かを作り終えても、違うチームを手伝ったり、森に何が必要かを改めて考えて新しいものを作ったりしていた。失敗を恐れずに、まずやってみるという姿勢が見られた」と児童の成長について語った。

プロジェクトを発表した当初、児童からは「こんな虫がたくさんのところに入りたくない」「この森を楽しい場所に変えるなんて無理」という反応が多かったという。それが、今では風が抜け、暖かな光が差し込む、子供たちのお気に入りの場所になりつつある。

宇都宮校長は「今後はこの再生した森で、さまざまな教科の授業やふるさと学習が展開できると考えている」と構想を語った。

山内教諭は「今後も草刈りや水脈づくりなど定期的な手入れが必要だ。この森をどのように学校のレガシーとして引き継いでいくかも、子供たちと考えていきたい」と話した。