健診情報の電子化で学校現場の課題解決に 利活用検討会

児童生徒の健診情報を電子化して利活用する方法を検討している文科省は11月15日、「データ時代における学校健康診断情報の利活用検討会」の第2回会合を同省内で開き、学校や自治体の健診情報を匿名で電子化する事業に取り組んでいる川上浩司・京大大学院医学研究科教授からヒアリングした。川上教授は「学校の健康診断は日本にしかない優れた制度。このデータをきちんと活用すれば、学力向上に役立ち、根本的に医療を変えることができる」と教育現場の課題解決に役立つとの考えを説明した。

健診情報の電子化を議論する文科省利活用検討会の委員ら

川上教授は、人間が一生でかかる病気の7割は、妊娠中から学童期の間に体質として決まるという世界保健機関(WHO)の見解を紹介し、乳幼児検診から学校検診まで電子データで一括管理する重要性を強調。過体重や口腔(こうくう)衛生と学力に相関関係があるとの研究結果を示し、健康医療情報が教育に密接な関連を持っていると指摘した。

その上で、自身が運営に携わっている健康・医療・教育情報評価推進機構(HCEI)の活動として、人工知能を併用した光学式文字読み取り装置(OCR)を使い、学校が持つアナログな健診情報を無料で電子化する取り組みを説明。「養護教諭など学校現場の負担をほとんど増やさないで、健診情報の電子化が可能になる」と述べた。

HCEIと契約している自治体は現在、全国で141あり、人口の約10%をカバーしているという。

ICTと教育現場の実情に明るい委員の堀田龍也・東北大学大学院情報科学研究科教授は「ここまでやっていることに驚いた。学校の健康診断情報が電子化され、いつでも参照できる価値は、学校現場も十分に認めることができるはずだ」と評価した。

文科省の矢野和彦審議官は「発達障害、外国人、貧困家庭の児童生徒が増え、不登校やいじめの問題が深刻化している。こうした状況で健康医療情報は、解決のヒントやエビデンスになるんじゃないかと考えている。仕事の増加を恐れる学校現場の不安もわかるので、学校現場の不安を解消するために問題がどこにあるのかを見極めて、解決方法を考えていきたい」と話した。


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