給特法改正案が衆院を通過 働き方改革の推進で附帯決議

学校に1年単位の変形労働時間制を導入できるようにする給特法改正案が11月19日、衆院本会議で賛成多数で可決され、参院に送られた。学校の働き方改革を一層推進することや、変形労働時間制を導入する条件に関する9項目の附帯決議も合わせて採択した。

同改正案は、自治体が条例を定めることで、公立学校の教員に1年単位の変形労働時間制を選択的に導入できるようにし、夏休み期間中などの休日のまとめ取りを促すのが狙い。同時に、文科相が公立学校教員の在校等時間の上限などを定めた「指針」を策定することを法律上に明記し、各学校での働き方改革の実効性を高める。

同法案に対して、学校現場などから懸念の声が上がっていることに対し、萩生田光一文科相は同日に開かれた閣議後の記者会見で、「本法案に対する懸念の声にもしっかりと対応できるよう、省令や指針などを通じて丁寧な制度設計を図っていきたい。各地方公共団体と同じ思いを共有して条例などの制定に取り組んでもらえるよう、全国の教育長や首長、また地方関係団体などが集まる会議など、さまざまな場を活用して、今回の改正や趣旨の周知徹底を図っていく。条例を作っていく段階で、懸念の声にしっかり答える準備をしていきたい」と述べた。

衆院における附帯決議は次の通り。

公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一 本法第七条の指針(以下「指針」という。)において、公立学校の教育職員のいわゆる「超勤四項目」以外の業務の時間も含めた「在校等時間」の上限について位置付けること。また、各地方公共団体に対して、指針を参酌した上で、条例・規制等において教育職員の在校等時間の上限について定めるよう求めること。服務監督権者である教育委員会及び校長は、ICT等を活用し客観的に在校等時間を把握するとともに、勤務時間の記録が公務災害認定の重要な資料となることから、公文書としてその管理・保存に万全を期すこと。

二 指針において在校等時間の上限を定めるに当たっては、教育職員がその上限時間まで勤務することを推奨するものではないこと、また、自宅等における持ち帰り業務時間が増加することのないよう、服務監督権者である教育委員会及び校長に対し、通知等によりその趣旨を明確に示すこと。併せて、「児童生徒等に係る臨時的な特別の事情」を特例的な扱いとして指針に定める場合は、例外的かつ突発的な場合に限定されることを周知徹底すること。

三 服務監督権者である教育委員会及び校長は、教育職員の健康及び福祉を確保する観点から、学校規模にかかわらず、労働安全衛生法によるストレスチェックの完全実施に努めるとともに、優先すべき教育活動を見定めた上で、適正な業務量の設定と校務分掌の分担等を実施することにより、教育職員の在校等時間の縮減に取り組むこと。また、政府は、その実現に向け十分な支援を行うこと。

四 政府は、一年単位の変形労働時間制の導入の前提として、現状の教育職員の長時間勤務の実態改善を図るとともに、その導入の趣旨が、学校における働き方改革の推進に向けて、一年単位の変形労働時間制を活用した長期休業期間等における休日のまとめ取りであることを明確に示すこと。また、長期休業期間における大会を含む部活動や研修等の縮減を図るとともに、指針に以下の事項を明記し、地方公共団体や学校が制度を導入する場合に遵守するよう、文部科学省令に規定し周知徹底すること。

1 指針における在校等時間の上限と部活動ガイドラインを遵守すること。

2 所定の勤務時間の延長は、長期休業期間中等の業務量の縮減によって確実に確保できる休日の日数を考慮して、年度当初や学校行事等で業務量が特に多い時期に限定すること。

3 所定の勤務時間を通常より延長した日に、当該延長を理由とした授業時間や部活動等の新たな業務を付加しないことにより、在校等時間の増加を招くことのないよう留意すること。なお、超勤四項目として臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに行われるものを除き、職員会議や研修等については、通常の所定の勤務時間内で行われるようにすること。

4 所定の勤務時間を縮小する日は、勤務時間の短縮ではなく勤務時間の割り振られない日として、長期休業期間中等に一定期間集中して設定できるようにすること。

5 教育職員の終業時刻から始業時刻までの間に、一定時間以上の継続した休息時間を確保する勤務間インターバルの導入に努めること。
6 一年単位の変形労働時間制は、全ての教育職員に対して画一的に導入するのではなく、育児や介護を行う者、その他特別の配慮を要する者など個々の事情に応じて適用すること。

五 一年単位の変形労働時間制を導入する場合は、連続労働日数原則六日以内、労働時間の上限一日十時間・一週間五十二時間、労働日数の上限年間二百八十日等とされている労働基準法施行規則の水準に沿って文部科学省令を定めること。また、対象期間及び対象期間の労働日数と労働日ごとの労働時間等については、事前に教育職員に明示する必要があることを周知徹底するとともに、一年単位の変形労働時間制の導入は、地方公務員法第五十五条第一項及び第九項の対象であることについて、通知等による適切な指導・助言を行うこと。

六 学校における働き方改革に関する総合的な方策を取りまとめた平成三十一年一月の中央教育審議会答申の実現に向けて、国・都道府県・市区町村・地域・学校が一体となって取り組むこと。特に教育委員会は、答申内容の実現を学校任せにせず、自らが主体となって学校における働き方改革を強力に推進すること。また、国及び地方公共団体は、「教員採用試験の倍率低下」や「教員不足」といった課題を解決するための対策に万全を期すこと。併せて、国は、抜本的な教職員定数の改善、サポートスタッフや部活動指導員の配置拡充をはじめとした環境整備のための財政的な措置を講ずること。

七 政府は、教育職員の負担軽減を実現する観点から、部活動を学校単位から地域単位の取組とし、学校以外の主体が担うことについて検討を行い、早期に実現すること。

八 教育職員の崇高な使命と職責の重要性に鑑み、教職に優秀な人材を確保する観点から、人材確保法の理念に沿った教育職員の処遇の改善を図ること。

九 三年後を目途に教育職員の勤務実態調査を行った上で、本法その他の関係法令の規定について検討を加え、その結果に基づき所要の措置を講ずること。

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