「モデル校で検証では3年遅れる」 先端技術活用で討論

教育の情報化について意見交換や事例発表をする「eスクールステップアップ・キャンプ2019東日本大会」が11月20日、横浜市で開催された。主催は日本視聴覚協会と日本視聴覚教具連合会で、文科省と神奈川県教委の共催。講演やパネルディスカッション、「遠隔教育」「BYOD(Bring Your Own Device)」などをテーマとしたICT活用に関する事例発表があり、約400人が参加した。

今後のICT活用について討論する登壇者ら

文科省初等中等教育局情報教育・外国語教育課の髙谷浩樹課長が「教育の情報化の最新動向」と題して基調講演。「大きく遅れた学校の情報化推進は国の最重要課題だ」と強調し、「解決に向けて、社会全体で危機意識を共有し、『学校ICTは当たり前になければならない』という風潮をつくる必要がある」と語った。

続いて「新しい教育課程におけるICT活用の今後の展開~先端技術の活用に向けて~」をテーマとしたパネルディスカッションがあり、奈良教育大学大学院の小柳和喜雄教授を進行役に、文科省初等中等教育局情報教育・外国語教育課の鹿野利春教科調査官、神奈川県教委教育局総務室ICT推進担当課の柴田功課長、茨城県つくば市立みどりの学園義務教育学校の毛利靖校長が登壇して意見を交わした。

柴田課長は「これからのICT活用では、学校と家庭学習をシームレスにつなぐクラウドサービスが重要になる」と説明。「そのためにはセキュリティーポリシーを見直す必要がある。自治体によっては、自治体と教委・学校のセキュリティーポリシーが同じところがあるが、それではクラウドサービスの可能性が狭められる」と指摘した。

毛利校長は「学校の立場から『どこから手をつければいいのか』という声を聞くことが多いが、とにかく環境整備をしなければ何も始まらない」とした上で、「全教員、全教科ですぐに取り組まなければならない。『まずは特定の教科や学年で』などと言っていたら、ほかの教員はやらなくなる」と強調。

加えて、「『教員に研修してから』という意見もあるが、教員は入れ替わりがある。また、『モデル校で検証してから』などと言っていたら3年遅くなり、今いる子供たちが時代に取り残される」と訴えた。

小柳教授は「すぐに始めるのが重要だ」と毛利校長に賛同。鹿野教科調査官は「スマホなどで新しいサービスが出ると、半年で世界が変わる。われわれはスピード感をもってやらなければならない」とした上で、「環境を整えるだけでは不十分だ。教員は学習科学の知見から、新たな価値の創造や、導入したICTの質的向上に努める必要がある」と語った。

事例発表した神奈川県立横浜南養護学校は、病棟にいる児童が川の生き物の観察や合奏に参加したり、治療のために一時帰宅している児童の学習指導をしたりするのにWEB会議システムを活用しているといい、「今後は復学を見据え、地域の中で連携体制を構築して支援する必要がある」と述べた。

生徒所有のスマホやタブレットを活用するBYODを実施している同県立秦野高校は「導入前は悪用・乱用が懸念されたが、生徒は思ったよりもきちんと考えて使用している」と述べ、「授業だけではなく、いじめアンケートや授業アンケートにも活用することで、校務の効率化につながった。eポートフォリオ化もできている」と語った。


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