市町村に高校残す意義 人口や経済への効果をデータ化

市町村に高校が存在することが、人口や経済に大きく貢献する――。島根県を中心に、全国各地で高校を核とした地域活性化に取り組んでいる地域・教育魅力化プラットフォームは11月22日、市町村の人口や経済に対する高校魅力化の影響を分析した調査を発表した。

高校が市町村にもたらす影響について説明する岩本共同代表

高校が統廃合されずに残った市町村は、統廃合されて高校がなくなった市町村と比べて、15~17歳の人口減少が緩やかであり、高校の魅力化に取り組んだ島根県立隠岐島前高校の周辺町村では、5%超の人口増加や1.5億円の歳入増につながっていたことが分かった。

高校の存続や統廃合が市町村に及ぼす影響を分析した調査では、1990年時点で公立高校が1校のみ存在し、2017年時点で市町村合併をしていない市町村で、現在も高校が存続している144市町村と、統廃合され高校が消滅した49市町村を比較。

15~17歳人口の総人口に対する比率の推移をみると、00年時点では、後に高校が存続した市町村と、統廃合で消滅した市町村で比率にほとんど差はなかったが、少子化が進んだ15年では、その減少率に大きな差が出ていることが示された。

00年を1とした場合、15年の比率は北海道の高校存続市町村で0.585なのに対し、高校消滅市町村では0.478に、北海道以外の都府県では高校存続市町村が0.558なのに対し、消滅市町村が0.521と差が開いていた。

また、長年、県外からの生徒受け入れや地域を拠点にしたプロジェクト型学習に取り組んできた隠岐島前高校について、周辺市町村である西ノ島町、海士町、知夫村に与えた社会・経済効果を分析した調査では、同校の魅力化が、17年時点で総人口の5%超の増加をもたらしていることが明らかとなった。

さらに、地域の消費額は3億円増加し、歳入も1.5億円程度増加。高校魅力化に対する町村の財政負担を加味しても、年間3000~4000万円のプラスの財政効果があると試算した。

文科省で記者会見した岩本悠・地域・教育魅力化プラットフォーム共同代表は「高校が地域において、人口や経済面でどれほどのインパクトがあるかが、データで初めて示された。公立高校は都道府県の所管であるため、市町村との連携が進んでいなかったが、高校の存在が市町村の地方創生に直結していることが分かった。しかし、ただ高校を残せばいいのではなく、高校が地域に開かれ、地域が当事者意識を持って高校と共に地域づくり、人づくりに取り組む必要がある」と指摘した。

同プラットフォームでは、こうした高校魅力化が生徒にもたらす教育効果を評価するシステムを開発中で、来年度以降、都道府県単位で導入できるようにする。


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