障害のある生徒の就労支援 学校と企業、福祉の課題議論

これからの特別支援教育の在り方を検討している文科省の有識者会議は12月2日、第4回会合を都内で開き、障害のある生徒の就労支援の課題をテーマに議論した。委員からは、学校の就労支援に向けた取り組みの充実だけでなく、雇用側の意識変革や福祉との連携を提起する声が上がった。

障害のある生徒の就労支援や生涯学習の在り方を議論する委員ら

文科省の学校基本統計によると、昨年3月に卒業した特別支援学校高等部の生徒の進路は、就職者が31.2%となり、年々微増している一方、施設・医療機関に入所する割合は61.1%で、高止まりの状態が続いている。また、障害種によって大学への進学率や就職率にばらつきがある。

この日の会合では、委員の川髙寿賀子・京都府立宇治支援学校長が、同校高等部の就労に向けた取り組みを報告した。

同校では校内にカフェを開設し、接客について学んだり、複数の業種を体験する現場実習を実施したりしている。また、生徒の就職は専任の進路指導担当の教員がサポートし、卒業から3年後までアフターフォローを続けるなど、生徒の適性や希望を踏まえた丁寧なジョブマッチングに取り組んでいる。

川髙校長は「生徒の実習先や雇用先を開拓するのは大変で、企業への就労は軽度の知的障害のある生徒が中心になっているのが実情だ。障害の有無ではなく、多様性への支援として、企業側も意識を変えてほしい」と述べた。

また、同じく委員として報告した神奈川県立厚木清南高校の山口正樹校長は、特別支援高等部の就労支援の体制を参考に、生徒の進路を支援する体制を構築した同校の事例を紹介。

「就労という側面だけでなく、進学も含めた幅広い支援について、特別支援高等部を高校が学んでいく必要がある。一人一人の生徒への支援体制が変われば、社会につながりを持つ生徒が増える」と特別支援高等部の取り組みを評価した。

委員からは「特別支援学校で、もっと早い段階から就労に向けた準備教育をすべきだ。学校と家庭が連携し、企業が求めているビジネスマナーなどを身に付けることが必要なのではないか」「重度障害のある人が在宅で仕事をするケースも増えてきている。企業が障害者を雇用することだけでなく、そうした人に仕事を発注することについても評価されるべきだ」「障害者が働く前に、周りからどんな配慮をしてもらえば仕事ができるかを、実体験も踏まえて知っておく必要がある。学校でできることには限界があるので、実習先の確保など、地域で学校と福祉機関が連携する体制を築くことも重要だ」などの意見が出た。


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