【PISA2018】読解力の課題 中教審教育課程部会が検討

OECD(経済協力開発機構)による、生徒の学習到達度調査(PISA)の2018年調査で、日本の読解力の順位が低下したのを受け、中教審教育課程部会(第114回会合)は12月4日、課題を検討した。委員からはICTを活用した学習場面を増やすことや、読解力の定義を見直すことが提案された。

PISAの調査結果を踏まえ、読解力の課題などを議論する委員ら

この日の会合では、調査結果を踏まえ、耳塚寛明・青山学院大学教授が生徒の学力と家庭の文化資本、経済資本との関係について、髙木まさき・横浜国立大学教授が読解力における国語教育の課題について、それぞれ発表した。

全国学力・学習状況調査で、家庭の経済的、文化的な状況と学力の関係について調査した耳塚教授は、生徒への質問紙調査で社会経済文化的背景(ESCS)が生徒の習熟度レベルに影響しているが、日本ではその差が小さいことに関して、「国によってさまざまな背景があり、比較は難しい。差が小さいからと言って放置されていい問題ではなく、対策の徹底が必要だ」と強調。

ESCSの値が低い家庭では、コンピューターが身近になく、今回のようなCBT調査では不利になる可能性を指摘した。

国語教育が専門の髙木教授は、生徒への質問紙調査で、日本の生徒はOECD平均と比べて、ノンフィクションや新聞などを読んでいないこと、国語の授業で教師からフィードバックを受けている認識が低いことに着目。

「国語の授業では、さまざまなテキストに生徒の興味・関心が向くように読書活動を改善し、それらのテキストを批判的に読み、適切な根拠を用いて自分の考えを表現するなどの指導を充実させる必要がある」と分析した。

その後の自由討論では、委員から日本の低いICTの活用状況や、読解力の課題認識に関する意見が相次いだ。

堀田龍也・東北大学教授は「今回の結果は衝撃的だった。多様なテキストから情報を抜き出せなかったり、クリティカルな批判ができなかったりすれば、デジタル世界を生き抜くことはできない。日本の生徒は生活経験でメディアに触れていても、学習の道具としてICTに触れていないことも明らかとなった。ICTを学習の道具としてもっと使わなければいけない。1人1台環境が実現したときに、インターネット上の多様な資料とデジタル教科書の両方を使うような学習スタイルを開発しないと、世界との差は今後も広がっていくだろう」と警鐘を鳴らした。

秋田喜代美・東京大学教授は「論理的思考力や批判的読解力をいかに育てるかが重要だ。読解力は国語だけでなく、例えば社会科や理科でデータをどう読むかなど、全ての教科を通じて取り組んでいく必要がある。調査がコンピューターを利用することになった影響は大きい。学校にICTを配備することは賛成だが、それをどう適切に活用するか、教師のICTを活用した指導に関する専門性をセットにして議論すべきだ。また、読解力は幼児教育の段階から育てていくことが効果的で、幼小中高一貫した読解力の育成を考えなければならない」と指摘した。

奈須正裕・上智大学教授は「PISAが求めている、デジタル世界における読解力の概念は、日本人がこれまで思ってきた心情理解ではなく、もっと幅広いものだという認識を持つべきだ。読書も小説だけでなく、ノンフィクションや複数のテキストから情報を読み取る経験を重視するなど、質を変えていかなければならない。新学習指導要領はそれを具体的に実現しようとしているが、読解力について学校現場と認識の理解・共有を進めていく必要がある。ICTリテラシーも含まれていることなど、読解力について定義をし直し、施策として理解形成を図ることが重要だ」と述べた。

【お詫びと訂正】正しくは堀田龍也・東北大学教授、発言は「学習の道具としてICTに触れていないことも明らかとなった」でした。お詫びし、訂正します。


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