高知県土佐町議会は12月10日、文科省などに対し、全国学力・学習状況調査は抽出式にすべきだとする意見書を賛成多数で可決した。原則として小学6年生と中学3年生の全員が参加する全国学力調査によって、学校現場はテスト漬けにされていると批判。学力を調査する目的であれば抽出で十分だとしている。
意見書では、毎年実施される全国学力調査によって、自治体間や学校間の点数競争が引き起こされるようになり、全国学力調査の対策で模擬試験を実施したり、独自の学力調査を導入したりする自治体が増加したことで、子供たちがテスト漬けの状態になっていると指摘。
教員も調査の分析と対策に追われて疲弊しているとし、こうした子供や教員への深刻な影響を踏まえ、全国学力調査を悉皆(しっかい)式から抽出式に改めるべきだとした。
町議会に意見書を提出した鈴木大裕議員は教育新聞の取材に、「教員不足が取りざたされ、学校現場は忙しすぎて子供と接する時間や授業準備の時間も確保できていない。そんな状況で毎年50億円もの予算を投じてテストをしている。政府は学校現場に結果責任を問う前に、教育条件の整備について自らの投資責任を果たすべきだ」と話した。
全国学力調査の在り方を巡っては、自民党の教育再生実行本部が廃止を含めた見直しの検討に着手する方針を示している。