【記述式問題】文科相、2021年1月の導入見送りを表明

来年度から始まる大学入学共通テストの数学と国語で予定されていた記述式問題について、萩生田光一文科相は12月17日、閣議後の記者会見で、(1)現時点で採点体制を明示できない(2)採点ミスをゼロにすることは期待できない(3)自己採点と採点結果の不一致を格段に改善するのは難しい――の3点を挙げた上で、「本番まで1年を切ろうとするなかで、このままでは受験生の不安を払拭(ふっしょく)することができない」と述べ、2021年1月に実施する共通テストでは記述式問題の導入を見送る考えを表明した。英語民間試験の活用延期に続く記述式問題の導入見送りで、大学入試改革の柱となってきた共通テストの姿は大きく様変わりする見通しになった。

記述式問題の見送りについて説明する萩生田光一文科相

共通テストにおける記述式問題の取り扱いについては、文科相の下に検討会議を新設し、英語民間試験の活用延期で宙に浮いた状態になっている英語4技能試験と合わせ、「大学入試の充実策を検討していきたい」と説明した。

その上で「記述式問題を全てなくしてしまう方向ではなくて、どうやったら試験の中に加えることができるのか、どうやったら公平に受験ができるのか、時間をいただいて検討したい」と大学入試に記述式問題を導入する必要性を強調。「(延期を表明した)英語成績提供システムと違い、見送りだ。全くまっさらの状態から対応していきたい」との考えを示した。

また、萩生田文科相は、大学入試における記述式問題の重要性について、「初等中等教育を通じて、論理的な思考力や表現力を育てて伸ばすことは大変重要であり、それらを評価する観点から、大学入試において記述式問題が果たす役割が大きいことに変わりはない」と指摘。各大学に対して「個別選抜で記述式問題の活用に積極的に取り組んでほしい」と要請した。

大学に対しては「価値観の共有が時間的に足りなかったのではないかと、私は思っている。記述式問題が大事だと話す各大学関係者は大勢いるが、自分たちの大学では問題は作らないし、採点もしない。私個人にはふに落ちないところがある」と述べ、記述式問題の導入に積極的に取り組むよう促した。さらに「大学入試センターの知見を使って何種類か作問することもできる。問題は提供するから、採点は各学校がやる、というのも可能ではないか」と提案した。

共通テストを巡る混乱が続き、受験生らに不安が広がった責任については、「誰か特定の人の責任でこういう事態が生じたのではなく、目指すべき理想と、それをきちんと評価をするシステムの間にさまざまな齟齬(そご)が生じてしまった。それが埋められると思ったけれども、埋められなかった、というのが現実だと思う。現時点では私が責任者だから、私の責任でしっかり立て直していきたいと思っている」と説明した。

共通テストでの記述式問題の導入については、与野党から延期や中止を求める要望が出されていたほか、共通テストを受験することになる高校生や大学教授らからも制度の見直しを求める声が相次いでいた。


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