AI時代に家庭・福祉のスペシャリストを 専門高が開校

2021年度に新たに開校する東京都立家庭・福祉高校(仮称、富川麗子校長)が12月21日、入学すれば一期生となる中学2年生とその保護者を主な対象に、キャリアガイダンスを開催した。同校は19年度末で閉校する都立赤羽商業高校の敷地に、令和最初に開校する都立高校として誕生する。保育・介護分野の人材や、人の心を豊かにする食を追求する人材を育成し、専門分野での高校の役割を強化する狙い。

新設される都立家庭・福祉高校(仮称)の中学生向けガイダンス

同校は「家庭学科」と「福祉学科」の2学科を設置する予定。家庭学科には幼児教育・保育系と栄養・健康系からなる「人間科学科」と、調理師資格取得を目指す「調理科」を、福祉学科には介護福祉士の国家試験受験資格取得を目指す「介護福祉科」を備える(学科名なども、いずれも仮称)。

目指すのは福祉国家を支えるグローバル人材の育成。コンセプトに▽スペシャリストの育成▽探究活動の充実と大学などとの連携▽地域と連携したインターンシップや親子ふれあいサロン、ボランティア活動などの体験・実践的な学び――を掲げる。

21日のキャリアガイダンスでは、中学生と保護者ら約220人が参加する中、パネルディスカッションに専門学科高校の卒業生が登壇。現在は栄養教諭や調理師、作業療法士、保育士として活躍するパネリストが、高校で専門的に家庭・福祉を学ぶ意義について語った。

公立中学校に勤務する栄養教諭の高橋真実子さんは、「総合家庭科」を備えた専門高校に進んだ理由について、「食物に関心があり、もっと勉強したいと考えた」と話し、「両親は『別の仕事に就けなくなるのでは』と懸念を示したが、担任の先生が『この学校が合っている』と後押ししてくれた」と振り返った。

専門学科高校の卒業生によるパネルディスカッション。左は富川麗子校長

保育士の中村里紗さんも「進路選択を狭めるという不安を抱えつつ高校の保育科に進んだ」としながらも、「1年生から児童心理など専門的な内容やリトミック、ピアノをしっかり学べた。担任になったつもりで取り組む実習では、記録をつける際に『何が重要か』を考え、まとめる力が身に付いた」と述べ、「全てが今の自分に役立っている」と語った。

調理師の奥村俊彦さんは高校の調理科での学びを振り返り、「調理実習では、誰もが先生の実演講習を近くで見たがり、前方の席の争奪戦になった」と、生徒の向上心をうかがわせるエピソードを紹介。

作業療法士の小林祐子さんは、高校で福祉について学ぶ中で作業療法士の仕事を知ったと言い、「福祉と医療の両面を学んだおかげで、広い視野をもって患者さんと接したり、他の職員に助言したりすることができている」と語った。

続く学校紹介では、富川麗子校長が「AIやロボットでは代替できない職業として残ると言われている仕事が、この学校で学んだ先にある」と述べ、「普通教科もしっかりと学びながら、衣食住の他に、地域社会、子育て、介護などを体系的に学び、社会の人々を幸せにできる家庭科・福祉科のスペシャリストを目指せる学校だ」と説明。

「1期生として学校の基盤をつくり、2・3期生を迎えるという貴重な経験ができる」と、新設校ならではの魅力も語った。


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