【連載2019 トップ5】エキスパートが描く本質に注目

教育新聞では日々のニュース配信だけでなく、さまざまなテーマについて、その分野のエキスパートが最新の知見や実践事例などを紹介する「連載」を複数展開している。ここでは、2019年に閲覧数が最も多かった連載トップ5を振り返りながら、教育界のトレンドを探っていきたい。いずれの連載も、昨今の教育課題やトピックを取り上げながらも、「その本質はどこにあるのか」を突き詰めたものばかりだった。


第1位には、柘植雅義・筑波大学教授が執筆・監修した「『学級雰囲気』発達障害児が過ごしやすい教室」(全10回)が輝いた。発達障害のある子供にとって過ごしやすい教室は、誰にとっても居心地が良く、安心して遊んだり学んだりできる空間になっているはずだ。本連載には、そんな温かな学級づくりについての研究知見が詰まっている。

「学級雰囲気」発達障害児が過ごしやすい教室(1)学級雰囲気とは何か >

第2位には、京都大学大学院教育学研究科の西岡加名恵教授の「主体的・対話的で深い学びを実現するパフォーマンス評価」(全10回)がランクインした。いよいよ20年度から小学校で新学習指導要領が全面実施を迎え、主体的・対話的で深い学びを軸にした授業改革が本格化する。問題になるのは、そうした子供の学びをどう評価するかだ。本連載では、なかなか表面に現れない児童生徒の学びの成果を評価するために、ポートフォリオを活用したパフォーマンス評価の考え方について、さまざまな校種、教科の事例を交えながら学ぶことができる。

主体的・対話的で深い学びを実現するパフォーマンス評価(1)学びに向かう力の育成 >

19年1月に中教審が答申した学校における働き方改革は、現場レベルでの実践にフェーズが移行しつつある。第3位の東京都調布市立多摩川小学校の庄子寛之教諭による「教師が今すぐ実践できる時短術」(全12回)は、そうした教員の問題意識を反映した内容だ。教員が、子供の成長を促す専門家としての役割を発揮するためには、どのような仕事の進め方や意識付けが必要か。年明けからの仕事の仕方を見つめ直すきっかけになりそうだ。

教師が今すぐ実践できる時短術(1)教師に「時短」が必要な理由 >

第4位には、東京都教職員研修センターの朝倉喩美子教授が担当した「見落としがちな道徳の本質 教師は何をすべきかDo & Talk!」(全11回)が入った。道徳の教科化の是非については、今もなお議論が続いている。重要なのは道徳で子供たちにどんなことを学んでもらうかであり、教員が目的を明確に意識しているかどうかが、道徳の授業を成立させる鍵となる。教科書を前に、ついその本質を見落としてしまうこともあるかもしれない。そんなときに立ち止まって考えるための視点を、本連載は提供してくれる。

【見落としがちな道徳の本質(1)】モラル・バックボーン >

近年、日本の学校が抱える負の側面としてクローズアップされるようになった「校則」。第5位の「校則にしばられる生徒たち 浮かび上がる学校の歪み」(全10回)を寄稿したストップいじめ!ナビの須永祐慈副代表は、校則の問題をいち早く世に問うた「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」の発起人の一人。さまざまなデータや証言から見えてきたのは、本来、よりよい学校生活を送るためのルールだったはずの校則が、いつしか子供たちを効率よく管理するための方便となってしまい、教員が思考停止に陥っているという状況だ。そうした校則の実態を本連載は浮き彫りにしていく。

校則にしばられる生徒たち―浮かび上がる学校の歪み(1)おかしな「校則」の広がり >

次々打ち出される教育改革、目まぐるしく変化する社会、目の前の子供たち。そうしたものにその場その場で対応していくうちに、つい、その問題の本質を見失ってしまうこともあるだろう。連載には、時間と労力をかけて本質を追究してきたエキスパートだからこその視点や深さがある。日本の教育が大きく変わる2020年は、どんな連載が読者の反響を呼ぶのか、いまから楽しみだ。

(藤井孝良)