共通テストにおける英語民間試験の活用延期や国語・数学の記述式問題の見直しなどを受け、萩生田光一文科相は12月27日の閣議後の記者会見で、有識者や関係団体の代表らによる「大学入試のあり方に関する検討会議」の設置を発表した。2020年1月15日に初会合を開き、20年末をめどに報告をまとめる。
検討会議は原則公開で行われ、24年に導入予定の英語4技能を評価する新たな試験の方向性を固めるほか、見直しとなった共通テストでの記述式問題の方針について議論する。また、英語民間試験や記述式問題の導入経緯についても検証を行い、経済的な格差や地域格差の是正、障害のある受験生への配慮などについても話し合う。
座長には三島良直・東京工業大学名誉教授・前学長が就任。委員は、文科省の高大接続システム改革会議委員で、中教審委員でもある荒瀬克己・大谷大学教授や、内閣府の「子供の貧困対策に関する有識者会議」委員の末冨芳・日本大学教授、全国高等学校長協会や日本私立中学高等学校連合会といった関係団体の代表者ら、18人で構成。オブザーバーとして山本廣基・大学入試センター理事長が加わる。
萩生田文科相は「検討会議では受験生を第一とする立場に立ち、大学関係者や高校関係者、保護者をはじめ、幅広いご意見を聞きながら、今後1年をめどにしっかりと検討していきたい」と強調。委員の人選については「(検討会議では)入試やテストに関する専門的な知見や、これまでの検討経緯の検証を踏まえた議論が必要であると考えており、このような観点から委員の人選を行った。具体的には関係団体の代表に加え、これまで施策に批判的な立場だった方、過去の検討過程に参画していただいた方、これまで必ずしも入試改革を巡る議論に加わってこなかった方をバランスよく選んだつもりだ。いわゆる民間業者の方は今回、声をかけていない。会議の進め方次第で大学関係者や高校生、必要があれば事業者の声も聞いてみたい」と説明した。
検討会議の委員は次の通り。
有識者委員
- 荒瀬克己・大谷大学文学部教授
- 川嶋太津夫・大阪大学高等教育・入試研究開発センター長
- 斎木尚子・日本ラグビーフットボール協会理事、前外務省研修所長
- 宍戸和成・国立特別支援教育総合研究所理事長
- 島田康行・筑波大学人文社会系教授
- 清水美憲・筑波大学大学院教育研究科長・教授
- 末冨芳・日本大学文理学部教授
- 益戸正樹・UiPath特別顧問、肥後銀行社外取締役
- 三島良直・東京工業大学名誉教授・前学長
- 両角亜希子・東京大学大学院教育学研究科准教授
- 渡部良典・上智大学言語科学研究科教授
団体代表委員
- 岡正朗・山口大学学長、国立大学協会入試委員会委員長
- 小林弘祐・北里研究所理事長、日本私立大学協会入試委員会委員長
- 芝井敬司・関西大学学長、日本私立大学連盟常務理事
- 柴田洋三郎・福岡県立大学理事長・学長、公立大学協会指名理事
- 萩原聡・東京都立西高等学校長、全国高等学校長協会会長
- 吉田晋・富士見丘学園理事長・富士見丘中学高等学校長、日本私立中学高等学校連合会会長
- 牧田和樹・全国高等学校PTA連合会会長
オブザーバー
- 山本廣基・大学入試センター理事長