非認知スキル育むモンテッソーリ教育 「子どもの家」副園長に聞く

新幼稚園教育要領が実施され、小学校学習指導要領の全面移行も迫る中、読み・書き・計算などの認知スキル以上に、非認知スキルが重視されるようになった。主体的に物事に取り組み、気持ちをコントロールし、他者とコミュニケーションを図る力。モンテッソーリは近年、こうした予測困難な未来を生き抜くのに必要な非認知スキルの育成に重きを置く教育として注目されている。イタリアの医師だったマリア・モンテッソーリが「子供には生まれつき自分を成長させる力が備わっている」と提唱し、1900年代初め頃に確立した教育法だ。

モンテッソーリ教育が新しい時代の学びに与えるものは何か。日本モンテッソーリ教育綜合研究所(東京都大田区)の教師養成センター講師と、同研究所付属「子どもの家」の副園長を兼任する櫻井美砂氏に聞いた。


知識ではなく「興味の種」を
モンテッソーリ教育実践者の育成を担う櫻井美砂氏

「子どもの家」は1979年の開園以来、学びに対する主体性の育成を重視した教育を実践してきた。櫻井氏は「幼児教育は子供の興味の種をまく段階だ」と語る。興味を持った事柄に発揮する高い集中力を生かし、多種多様な教具から自由に選んだものを使って個別の活動に取り組む。他の子供と共に取り組む場合もあるといい、教員は教具の使い方の手本を見せたり、必要に応じて声掛けをしたりする。

一方で「子どもの家」では、異年齢混合で行う共同活動もある。同園では2歳半~6歳の子供たちが同じクラスで過ごしており、この縦割りクラスもモンテッソーリ教育の特徴の一つだ。年長の子は年少の子の世話を通じて慈しむ心を養い、年少の子は年長の子の活動を見て目標とする。

例えば、同園が「文化教育」として取り入れている世界地理の学習では、子供たちが協力して壁面に世界地図を制作する。櫻井氏は「さまざまな国や文化について知識を教えるのではなく、小学校で地理や文化を学ぶ土台として、異文化への興味や国際理解の意識を育みたい。興味関心を持って主体的に学びに向かえる子供になってほしいと考えている」と語る。

個別の活動で社会性を育む

モンテッソーリ教育の中心は、子供が自分で選択した個別の活動に集中する時間だ。集団における社会性はその中で身に付くと言い、櫻井氏はその理由を「個が確立していると、集団に埋没することなく、『自分に何ができるか』を自然に考えようとする自主性が育つ」と説明する。

地球全体から各地域へと学びを展開させる独自の教具

その中で教員の役割は、援助が必要な幼児期の子供に自立を促す関わりだと言う。「子供に任せられることはどんどん任せる。そうすることで、子供は何を自分で考えるべきかが分かり、自分の考えが尊重されると理解する」。その繰り返しが、どんな集団の中でも自分の取るべき行動を主体的に考え、自発的に行動する子供の育成につながると指摘する。

新幼稚園教育要領について、「文科省が示した『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿』は、モンテッソーリ教育では以前からあった考え方だ」としながらも、「社会とのつながりや国際理解の意識の芽生えに関する定義が加わったことは注目すべきだ」と強調。

「これからは異文化の人々と関わりながら暮らすのが、今まで以上に当たり前になる時代。異なるものへの関心を持ち、尊重する気持ちを養う必要がある」とした上で、「そのためには意図的に自国の文化に触れさせ、親しみを醸成していくことが重要だ」と語った。


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