今後の大学入試の方向性を議論する「大学入試のあり方に関する検討会議」の進め方について、萩生田光一文科相は1月17日、閣議後の記者会見で、「英語4技能を伸ばすとか、記述式問題が大事な視点だということに、賛否があるわけではない」と述べ、英語4技能や記述式問題への対応を「大事な目標」とすることを前提に、大学入試改革の見直し論議を委員に委嘱したとの認識を明らかにした。

続けて、15日の検討会議で一部の委員から白紙状態で議論するよう委嘱されたとの発言があったことについて、「(英語4技能や記述式問題の重要性は)前提だけれども、大学入試の中にどう入れ込むのか、あるいは入れ込まないのか、全くゼロから議論していただくつもりで(委員を)お願いした。民間試験を使うのか使わないのか、形を決めて議論をお願いするつもりはない」と説明した。
また、公開が原則とされている検討会議の一部会合を非公開で行うよう提案した真意について、「委員を委嘱するときに『しっかりとした議論をするためには全てフルオープンの場では話しづらい』という委員が複数いたので、その思いを代弁した。あれだけのカメラと傍聴人の前で、批判的なことを堂々と言うのはすごく難しいものがある」と説明。
「過去の経緯を批判したい、あるいは明確に批判していたのに受け止めてもらえなかったと思っている委員も複数いる。そういう意見は辛辣(しんらつ)に言ってもらいたい」と述べた。
英語民間試験について協議した過去の会議が、議事録も含めて非公開で行われた経緯を受け、密室性を警戒する一部メディアの批判については、「事後ブリーフィングなどによって内容を直ちに公表して、一定の透明性を確保する工夫があってもいい。隠蔽(いんぺい)を前提に会議をやるという批判には当たらない」と反論した。
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