業務の見える化で残業5時間削減 横浜市教委が成果報告

職場の状況を「見える化」して自分たちで改善策を決めていく、サーベイフィードバックによる学校の働き方改革に取り組む横浜市教育委員会は1月17日、市立学校の管理職や主幹教諭を対象にした「みんなの働き方フォーラム」を開いた。サーベイフィードバックによる研修を実施した学校では、教職員の平均の時間外労働時間が約5時間減少するなどの成果が報告された。

成果を共有する登壇者らと中原教授(左)

同市教委は2017年度からの3年間をかけて、立教大学の中原淳教授らと共同で、サーベイフィードバックによる学校の働き方改革の研修プログラム開発に取り組んだ。

中原教授らが17年11~12月に、市立小中学校の教員約1000人を対象に実施した調査では、教員の1日あたりの労働時間は直近3日間の平均で11時間42分、42.0%の教員が1日12時間以上働いている実態が明らかとなった。

同調査を基に開発した研修プログラムでは、新任校長研修と連携して、各学校でサーベイフィードバックによる働き方改革の実行を促した。まず、学校ごとに教職員の勤務状況や働き方に関する意識についてアンケートを実施。次に、そのデータをグラフ化し、平均値と比較するなどして、ワークショップ形式で教職員全員が問題意識や働き方改革の必要性を共有。最後に、その学校に適した改善策を決めて、取り組んでいくようにした。

19年度に86校でこの研修プログラムを実施したところ、実施前である4月の対象校の時間外労働時間の平均は54.7時間だったのが、実施後の11月は50.1時間となり、4.6時間減少、前年同月比でも5.3時間少なかった。

また、多くの学校で働き方の改善に前向きな雰囲気が生まれた。中原教授らは、市教委のウェブシステム上から入力するだけで、自校の働き方の状況をグラフ化し、比較できるツールを開発。働き方改革の目的や進め方を共有するための教職員向けDVDも作成した。市教委では、来年度からツールを全ての市立学校で利用できるようにし、この研修プログラムを管理職選択研修に加えるなどして、サーベイフィードバックによる働き方改革を推進する。

新任校長研修で研修プログラムを受講した同市立小田中学校の池田ゆかり校長は「自分の学校のデータを見て、みんなで意見を出し合ったことが大きかった。今では、職員会議は約1時間で終わり、残った時間で教員同士が仕事での気付きを振り返る姿がみられるようになった」と成果を実感する。

また、同市立師岡小学校の川村智子校長も「職員へのアンケートという事実に基づいたデータを示すことは何よりも説得力がある。本校のような大規模校では、組織作りをしっかりして、改革を継続していくことが大事だ」と振り返った。

中原教授は「長時間労働の原因の多くは、個人ではなく職場にある。他の組織でやっていることの単なる『コピペ』ではなく、自分たちで打ち手を決める働き方改革が必要だ」と呼び掛けた。

同フォーラムには市立学校の教員ら、約200人が参加した。

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