幼小9年間で子供の成長を考える 幼小接続で研究発表

東京都中央区晴海の区立月島第三小学校(小野内雄三校長、児童730人)と区立晴海幼稚園(川越裕子園長、園児191人)が合同で2年間取り組んできた「幼小接続の指導の工夫」についての研究発表会が1月24日、同校園で行われた。公開保育・授業で5年生が年中児を「指導」する「幼稚園の先生にチャレンジ」の授業公開など、主体的・対話的で深い学びの実践例を紹介。幼稚園や小学校の教員、保育士、指導主事ら多くの教育関係者が参加し、パネルディスカッションで意見を交換した。

意見交換するパネルディスカッションの登壇者ら

同校園は同じ建物に併設されていて、園児の多くは同小に進学するが、これまで教育の連携は限定的だったという。2018年度から2年間の区教育委員会研究奨励校園の指定を受けて、3歳児から第6学年までの教育課程を俯瞰(ふかん)して見直しを進めた。

注目したのは「対話」の重要性。それぞれの学年で達成すべき「対話の姿」と「主体的に学ぶ姿」を一覧できる研究構想図を作成した。例えば3歳児の対話の姿は「自分の思いを安心して表すことができる」だが、それを6年生で「対話から自分の考えを深めたり広げたりして、自分の考えを再構築し、協同的に話し合いができる」ようにする。そのための各年齢での段階的な目標を、全教職員が共有できるようにした。

子供の成長を連続したものと捉えることで、互いの教育内容の理解に努めるため、幼稚園と小学校の教職員の話し合いなども増えた。6年生で主体性を十分に身に付けさせることを目標に、幼稚園では「卒園させたら終わりではない」、小学校でも「教育は1年生から始まるわけではない」という意識が出てきたという。

授業公開された「先生にチャレンジ」では、工作や踊り、ボール遊びなど、全てのプログラムを5年生が企画。総合的な学習の時間を使って、グループで企画書を作成し、幼稚園の教諭にプレゼンして、指摘された部分を話し合って修正したという。用具なども全て自分たちで準備して、この日を迎えた。園児らは「おにいさん先生・おねえさん先生」と楽しそうに時間を過ごしていた。

他の学年でも、異学年交流など、対話を通して主体的に学ぶプログラムの実践例を公開。参加者らは、廊下に張り出された説明パネルなどを見ながらメモを取るなど、熱心に授業を見学していた。

パネルディスカッションでは、小野内校長は「研究のゴールが見えない状態でスタートしたが、幼小の溝が埋まって方向性が見えてからは、気付きが多かった。さらに進めていきたい」と、川越園長は「進学するのは当園だけではないので、近隣の保育園やこども園との連携にも取り組んでいきたい」と述べた。

進行役を務めた松蔭大学コミュニケーション文化学部の山下文一教授は「幼小接続というと年長児と1年生にとどまることが多い。9年間をつなぐというのは新しい発想。子供の学びを軸に考えることが、教育の質の向上につながっていく」と語った。

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