新型肺炎 学校が取るべき対策 文科省健康教育課長に聞く

国内でも感染例が確認されている新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)に対する不安が広まっている。萩生田光一文科相は2月10日の閣議後会見で、「さまざまな報道に接して不安を感じている方も多いのではないか。正しい知識に基づいて冷静に行動すること、そのために正確な情報収集、把握をしてほしい」と強調した。感染症に対して学校はどのように対応すべきか。文科省初等中等教育局の平山直子・健康教育・食育課長に聞いた。

症状が出たら医療機関や保健所に相談

「せきエチケット」の方法

文科省では、萩生田文科相を本部長とする「文科省新型インフルエンザ等対策本部」を設置。1月28日付の通知で、政府が新型肺炎を2014年のMERS以来、5例目となる「指定感染症」に定めたのに伴い、学校保健安全法に基づく対応を各学校に要請。新型肺炎にかかった児童生徒に対しては、出席停止などの対応を取るよう求めている。

また、新型肺炎の影響で、中国にある日本人学校から多くの児童生徒が日本に帰国している。各市区町村教育委員会は避難のため中国から帰国した児童生徒に対して、住民票がなくても居住実態に応じて柔軟に受け入れを行うとともに、帰国後2週間以内に37.5度以上の発熱やせきなどの症状が出た場合には、保護者が医療機関や保健所(中国湖北省から帰国または湖北省在住の人と接触があった児童生徒については最寄りの「帰国者・接触者相談センター」)に連絡し、学校は出席停止などを判断することになっている。

新型肺炎の症状は、インフルエンザとほとんど見分けがつかない。そのため、症状が出たら、まずは医療機関を受診して対応を相談する必要がある。

平山課長は「新型肺炎の致死率は、2002年ごろに流行したSARSよりも格段に低いとされている。学校では、養護教諭と連携して感染症に対する正しい知識を児童生徒や保護者にしっかり伝えてほしい」と話す。

「せきエチケット」と手洗いの徹底を

新型肺炎の予防策もインフルエンザと基本的には同じ。「せきエチケット」の徹底とこまめな手洗いだ。

「せきエチケット」では、飛沫(ひまつ)感染を防ぐため、マスクを着用し、しっかり鼻からあごまでを隙間なく覆うことが基本。マスクがない場合は、せきやくしゃみをするときにハンカチやタオル、ティッシュなどで覆ったり、上着の内側や袖を口に当てたりして、飛沫(ひまつ)を周囲に浴びせないようにする。

正しい手の洗い方

手洗いでは、特に外から校内、家庭内に入るときなどに、手の甲や指の間、爪などまで丹念に洗うようにし、手を拭いた後はよく乾燥させることがポイントだ。

厚労省の特設ページでは、せきエチケットや手洗いの方法に関する啓発ポスターを公開している。

入試や学校行事が重なる時期だが、受験生や来校者に対しても「せきエチケット」や手洗いを求めていく必要があるだろう。

また、文科省は高校入試や大学入試で受験生が新型肺炎に感染していたり、感染が疑われたりする場合には、学校側で改めて追試験を実施して受験機会を確保するなどの対応を求めている。

「感染症いじめ」の防止も

感染の予防と同時に学校現場で懸念されるのは、中国からの帰国者などに対する偏見やいじめだ。平山課長は「偏見やいじめは決して許されることではない。そのためにも、学校で感染症への正しい理解を広めていくことが大切だ」と強調する。文科省の新型肺炎の特設サイトでも、「子供のSOSの相談窓口」へのリンクが設けられているが、教員も児童生徒の言動に注意を払う必要がある。

萩生田文科相は2月7日、「保護者、学校の教職員の皆さんへ」と題するメッセージで、新型コロナウイルス感染症を理由としたいじめや偏見は決して許されないと強調。「今後も、中国から多数の子供たちが帰国することが予想されます。住み慣れた地域や学校を離れてつらい思いをしている子供たちや、感染拡大の防止に向けて懸命に働いているご家族を持つ子供たちを傷つけるような、心ない言葉や態度がとられることがあってはなりません。教職員の皆さんにおかれては適切な対応をとっていただくとともに、保護者の方におかれてもご配慮をお願いいたします」と呼び掛けた。

同相によると、2月10日現在、各教委から文科省に対していじめの報告はないという。

文科省では、新型肺炎の対策について特設サイトを設け、関連情報を随時更新している。また、感染症対策への理解を深める資料として、日本学校保健会が発行する『学校において予防すべき感染症の解説』や、文科省の健康教育関連資料『かけがえのない自分、かけがえのない健康(中学生用)』などがある。

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