【入試改革】「2年前ルールを破った罪がある」 検討会議

今後の大学入試の方向性を議論する文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」の第3回会合が2月13日、同省内で開かれ、大学入学共通テストにおける英語民間試験の活用延期と記述式問題の導入見送りに至った経緯について、高校と大学の関係者からヒアリングを行った。高大接続改革の中で、英語4技能の習得と「書く力」の育成が大切との認識は共有されたが、それらを大学入学者選抜で測る制度設計について課題を残したまま、2020年度の共通テスト導入に向けたスケジュールが進んでいった実態が浮かび上がってきた。参加者からは「大学入試には、守られなければならない2年前ルールがある。今回は、それが破られた。受験する高校生に対して、私たちは共通で感じるべき責任がある」と、反省の弁も飛び出した。

大学入試検討会議で発言する萩生田光一文科相

最初に意見発表した全国高等学校長協会(全高長)の萩原聡・東京都立西高校校長は、英語民間試験の活用が延期される契機のひとつとなった昨年7月と9月の文科相への要望書について、「英語4技能の推進は支持している。しかし、共通テストでの実施方法には課題があると指摘した」と説明。大学入試は自校が求める学生を選抜するために大学が責任持って主体的に実施するべきだとした上で、「大学側が英語4技能を共通テストの下で実施する必要があるというならば、大学入試センターが責任を持って実施するべきだ」と述べ、民間試験を活用しないよう求めた。

次に、私立高校を代表する日本私立中学高等学校連合会(中高連)会長の吉田晋・富士見丘中学高等学校校長は、高大接続改革と大学入試を巡る経緯について、文科省の実施計画や中教審の答申などの公文書を基に42ページに及ぶ資料を提出。共通テストでの英語民間試験の活用や記述式問題の導入が決まった経緯について、中高連が出した反対意見を含めて詳細に振り返った。

それによると、英語4技能を測る試験を2020年度に導入するとしたゴールは、2015年6月5日付で文科省が出した「生徒の英語力向上推進プラン」で設定された。さらに、17年7月13日付の大学入学共通テスト実施方針で、民間の英語資格検定試験を大学入試に活用することが決まり、記述式についても大学側の意向を背景に、各大学ではなく、大学入試センターが共通テストで実施することが決まった。

吉田会長は「こうして決まった英語民間試験の活用と記述式問題の導入が突然、取りやめになった。まじめにルールを守り、英語4技能を身に付けようとしっかりやってきた生徒たち、努力して教えてきた先生たちは、本当にかわいそうだ」と訴えた。

大学側では、まず国立大学協会(国大協)入試委員会委員長の岡正朗・山口大学学長が「国立大学では、各大学がそれぞれのアドミッションポリシーで入学者選抜を行うべきだとして、多くの大学がすでに記述式問題を導入している」と説明。一方で、英語4技能のスピーキングについては試験や採点の都合から「全て国立大学に課すには非常にハードルが高い」とした。

公立大学協会理事の柴田洋三郎・福岡県立大学長は「共通テストで思考力を問う記述式を導入するのは画期的で、(英語民間試験を活用した)英語成績提供システムも受験生と大学の双方にメリットがあった」と述べ、今回見送られた大学入試センターによる共通テストの仕組みを評価。2024年度に新しい大学入試がスタートするまで、当面混乱が続くとの見方を示した。

日本私立大学連盟常務理事の芝井敬司・関西大学学長は「英語4技能も記述式も、改革の理念として理解する。だが、これらは大学入試だけではなく、高校の実践、大学入試という接続、大学の全体像でみる必要がある」と指摘。

その上で大学入試の教科や科目の変更を2年程度前に公表するよう、文科省が大学入学者選抜実施要項で求めている「2年前ルール」に触れ、「今回の見送りによって、2年前ルールが破られた。これは私たちが共通で責任を感じなければならないポイントだ。大臣が『やめる』とした選択は正しいかもしれない。でも、受験生からすると、2年前ルールという大きな原則を破ったことになる。これはすごく大きな罪だ。私たちはその重みを押さえておく必要がある」と言葉を引き締めた。

議論に参加した萩生田光一文科相は「きょうの議論は、大学入試改革の当事者である高校、大学関係者の話だ。国民に納得してもらえる、よりよい制度の構築が本会議の任務。過去の教訓を生かしつつ、未来に向けて建設的な検討をお願いしたい」と述べた。

次のニュースを読む >

関連