インクルーシブと特別支援 都の総合教育会議で議論

東京都は2月13日、今年度2回目となる総合教育会議を開き、これからの特別支援教育の在り方をテーマに議論した。脳性まひがあり、共生社会をテーマにしたNHKのバラエティー番組「バリバラ」のコメンテーターを務める日本相談支援専門員協会顧問の玉木幸則さんが、障害の有無にかかわらず、子供たちが同じ学校で共に育つインクルーシブ教育の実現に向けた提言を行った。

パラリンピック大会の開催を契機にインクルーシブ教育の重要性が増すと話す小池知事

地域の公立小中学校に通えたものの、高校は全寮制の養護学校高等部に通わざるを得なかったエピソードを紹介した玉木さんは、日本の障害者施策では、個々の能力を最大限伸ばすことに力が注がれ、前提であるはずのインクルーシブな社会づくりの視点が抜け落ちていると批判した。

さらに、通常の学校において、複数担任制の導入や養護教諭への看護師資格の必須化、必要に応じて支援を受けられる「個別支援教室」の設置などの工夫をすることで、どの学校でも障害のある子供が当たり前に学べるようになると提案した。

玉木さんは「教員はインクルーシブ教育で育ってこなかったし、その専門教育を受けていない。それなのに、障害のある子供の保護者に対して『子供の育ちを考えると特別支援学校がいい』と根拠のないことを言って、不安にさせている。あらゆる関係者が、どうすれば全ての子供が共に学び、共に育つことができるのか、考えてほしい」と訴えた。

一方、もう一人の発表者で、特別支援教育やインクルーシブ教育を専門に研究している眞城知己(さなぎ・ともみ)関西学院大学教授は、インクルーシブ教育の推進が特別支援学校不要論のような極端な発想につながることは、子供の学ぶ選択肢を奪うことになりかねないと警鐘を鳴らした。

自身の経験を振り返り、障害の有無にかかわらず同じ学校で学べる環境の実現を訴える玉木さん

同教授は「インクルーシブ教育は、特別支援学校の存在を否定しているわけではない。特別支援教育の『特別』とは、通常の教育にプラスアルファまたは異なる対応をするという意味だ。そのような学習の機会を受けられる仕組みを広げていきながら、新しい学校制度へと改革していく視点を持つことが必要だ」と指摘した。

議論を踏まえ、小池百合子都知事は「今日はいいキックオフとなった。都では、遊具を工夫することによって、障害のある子もそうでない子も一緒に遊べるような都立公園を試験的に作っている。生まれてから学び、そして社会へ出ていくという、その人の一生はずっと続くので、居場所や学びの工夫が必要だ。『インクルージョンって何?』という人もまだ圧倒的に多いのが現状だ。だからこそ、今回のパラリンピックは重要だ」と、パラリンピックを契機にしたインクルーシブな社会づくりに意欲を示した。

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