【一斉休校】対応追われた学校現場 政府要請に疑問の声も

新型コロナウイルス(新型肺炎)の感染防止対策として、全国の小中高と特別支援学校を臨時休校とする突然の政府要請を受け2月28日、教育委員会や学校現場は、保護者からの問い合わせが殺到するなどして対応に追われた。政府は3月2日から春休みまでの臨時休校を求めているが、休校期間などは自治体によって判断が分かれている。学校現場からは、1年間の締めくくりとなる3月を前にした突然の休校要請に疑問の声が上がった。

特別支援学校は休校としない県も

政府の要請を受け、各地の教育委員会は早急な意思決定を迫られた。

東京都教委は都立高校、中等教育学校、特別支援学校に対し、要請を基本的に受け入れる方針を通知。学年末試験は3月2日以降実施せず、成績はこれまでの学期の評定や直近の学習状況などを基に決める。臨時休校中は部活動も中止。卒業式や終業式は時間を短縮するなどして実施する。

一方、特別支援学校の児童生徒で、自宅などで過ごすのが困難な場合は、各学校で受け入れるよう要請した。

また、都教委は公立小中学校についても同様の対応とすることを区市町村教委に要請。特に小学校低学年児童の日中の居場所確保などの対応を求めた。

宮城県教委は3月2日から24日まで、県立高校などを休校にするが、特別支援学校は態勢が整い次第24日までは休校とする決定を通知。公立小中学校と私立学校に関しても、同じ期間を休校とするよう要請した。

いち早く2月27日夜に方針を決定した大阪府では、全ての府立学校を3月2日から来年度の始業式・入学式まで休校とする。府内の公立、私立の小中学校、幼稚園にも、同様の休校措置を求める方針。

千葉市では市立小中学校は3月3日から、市立高校は同月4日からそれぞれ休校。新型コロナウイルスの潜伏期間が12日程度であるのを根拠に、同月16日までを休校期間とする。自宅に1人で過ごすのが難しい小学校低学年と特別支援学級の児童は、希望者に限り午前8時から午後2時半まで、各学校で預かる方針も示した。熊谷俊人市長は「朝から学童保育で児童を受け入れるのは、学校より接触の機会が増えることになり、ちぐはぐな印象だ」と、政府の要請に苦言を呈した。

保護者や生徒から問い合わせが殺到

学校現場からは、突然の休校要請に疑念や怒りの声が上がっている。

都内の公立小学校の教諭は「政府の発表直後、午後6時半ごろから学校に問い合わせが殺到した」と話す。「電話がつながらない」と職員室を直接訪ねる保護者もいたという。その多くが低学年の保護者からで「休校の予定を早く教えてほしい」というものだった。民間の学童保育所からも「小学校が休校になれば、朝から職員を確保しなければならない」と相談の電話があったという。

この教諭は「業務や保護者対応で残っていた数人の教員で対応するほかなく、夜中まで混乱が続いた。政府の発表が日中であれば、全教職員で対応したり、学校ホームページで現況を伝えたりできた。発表の際に『要請は今後行う』と言い添えて、学校などへの問い合わせを控えるよう伝えることもできたはずだ」と憤る。

要請が全国一律だったことに対し、疑問視する意見もある。宮城県の公立高校によると3年生の生徒から「卒業式まで登校できないのか」と尋ねる声が相次いだという。卒業式までに予定されていた登校日は、式の予行も含めて3日を残すのみだった。

この教諭は「就職する生徒にとっては最後の学校生活。『クラスで思い出づくりをしたかった』『先生に感謝を伝えたかった』と泣きながら訴える生徒もいた。東北地方では感染者は確認されていない。高校生は休校になったことで、遠出やアルバイトをしてしまい、かえって感染リスクを高める可能性もあるのではないか」と懸念する。

情報収集急ぐ校長会

全国の各校種の校長らで構成される校長会では、いずれの団体も「設置者の判断に応じて各校ごとに対応」としつつ、情報収集に努めている。

全国連合小学校長会(全連小)会長の喜名朝博・東京都江東区立明治小学校長は「学校は子供の健康と安全を守るのが第一なので、休校そのものが誤っているとは思わないが、ステップが必要だったのではないか。共働き家庭などでは、低学年の児童を自宅に1人で過ごさせるのも難しく、学童保育と連携するなどして子供の安全を担保してほしい」と話した。

また、全日本中学校長会(全日中)会長の川越豊彦・東京都荒川区立尾久八幡中学校長は同会ホームページにコメントを発表。「臨時休校に伴って学校現場において生じる大小さまざまな課題を予測し、解決策を見いだすことができるのは学校自身」とした上で、「各教育委員会と連携・協力し、生徒への影響を最小限にとどめる」と強調した。

全国高等学校長協会(全高長)会長の萩原聡・東京都立西高校長は「子供の安全を確保することと、教育活動の継続の観点から、今回の要請については良いとも悪いとも言えない。教育委員会と相談しつつ、子供たちにとってより良い判断をしてほしい」との考えを示した。

日本私立中学高等学校連合会(中高連)会長の吉田晋・富士見丘中学高校長は「今回の要請の中では、学年末テストへの影響が言及されていなかった。中学校や高校ではおおむね3月に実施するため、各校はその対応に苦慮していると思う。本校では、オンラインでの自習教材なども用意する予定だが、各校で環境も異なるため、対応が難しいケースもあるはずだ」と指摘する。

さまざまな障害のある児童生徒への対応が求められる全国特別支援学校長会(全特長)会長の朝日滋也・東京都立大塚ろう学校校長は「今回の発表には驚かされたが、子供の命を守るためにはやむを得ない措置だったと思う。都が卒業式や終業式を、参加者を最小限にして実施できるようにしたのは、保護者にとってもうれしいことだ。文科省の通知で『福祉サービスを受けられない児童生徒を登校させる』とあり、移動手段の確保などに苦慮する学校もあるのではないか」と危惧した。

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