新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の拡大防止のために始まった、長期にわたる一斉臨時休校。児童生徒との連絡手段、家庭で授業を受けられる方法として注目を集めているのが、ビデオ会議ができるアプリの活用やネット配信だ。
静岡市にある私立の静岡聖光学院中学校・高校(星野明宏校長、生徒458人)は3月2~19日までを臨時休校とし、家庭学習に切り替えた。以前から体調不良で欠席する生徒が多かったことから、休校を検討していた直後、政府から一斉休校の要請があった。
こうした事態を受けて、同校ではビデオ会議アプリ「Zoom」を活用して朝夕のホームルームを、講義用アプリ「iTunesU」を使って授業を配信することにした。
遠隔での授業配信は同校初の試みだったため、臨時休校を前に、2日間かけてシミュレーションを行い、教員研修も実施。生徒の自宅の無線LAN環境なども調査して、不具合のある家庭の生徒に対しては、週2日、課題などを郵送することで対応することにした。
同校では今年度、中学1年生から高校2年生まで、タブレット端末による1人1台環境を実現しており、授業でも日常的にICTを活用していたことから、生徒も教員もスムーズに対応できたという。
実際にやってみると、一部の家庭で無線LANが弱く、接続がうまくいかないなどの課題はあったものの、9割以上の生徒は問題なく利用できた。
同校の星野校長は「まずは生徒の命や安全が大切だ。臨時休業は長期間にわたるので、なるべく学校生活と近い環境になるように考えた。初めての試みなので、うまくいかないことも出てくる前提で使えるものは全部使った。教員、生徒、保護者とで知恵を出し合って、改良していくことが大事だ」と話す。
星野校長は今後の課題として、生徒のメンタル面のケアを挙げる。同校では、スクールカウンセラーがオンラインや電話で対応できる体制を整えることを検討しているという。
同校は生徒自らが考え、行動する主体性を重視した部活動で知られる。中でもラグビー部は今年の「第99回全国高校ラグビー大会」に静岡県代表として出場するなど、限られた練習時間で好成績を収めていることで知られている。
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