夢断たれた選手ら落胆 監督、教員ら懸命の励まし

新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の感染拡大が収まらない中、「選手の健康、安全が第一」と、3月19日に開幕を予定していた第92回選抜高校野球大会が中止された。ウイルスという見えない敵から甲子園でのプレーを奪われた選手たちを支えたいと、出場が決まっていた32校の監督、教員らは励ましの声をかけ、心情に配慮した対応を続けている。

日本高等学校野球連盟(高野連)の八田英二会長は、中止という最終判断を下した11日の臨時運営委員会後の会見で、「高校野球は学校教育の一環。選手の健全な心身の発達に寄与していきたい。その心身の健康面に今、重大な不安が生じている」と説明。「選手の健康を第一に考えるという原点に返って、教育者として苦渋の決断をした」と理解を求めた。その上で「社会ではこのような決断に迫られることもある。これも一つの教育ではないかと考えている」と述べた。

落胆する選手たちをどう励まし、前向きな気持ちにさせるか。対応は出場校の監督、教員らに委ねられた。

21世紀枠で春夏通じて初出場を射止めた平田高校は、自然豊かな島根県出雲市平田町にある県立高校。島根県では3月11日現在、新型肺炎の感染者が出ていないため、一斉休校とはせず、平常通りの授業を続けている。だが、部活動は全国大会に出場する部のみができるとされていたので、選抜大会中止の決定を受け、野球部員は12日からグラウンドでの練習ができなくなった。

坂根昌宏校長は12日の放課後、制服姿の選手たちに「決まったことは仕方がない。気持ちを切り替えて、夏に向かって頑張ろう。さらに力を伸ばして、夏の甲子園に出場しよう」と呼びかけた。当面の間、選手各自が自主練習することになるが、監督、部長らがアドバイスをしながら、前向きにさせるサポートを続けたいとしている。

福島県いわき市の磐城高校も、21世紀枠で出場予定だった。野球部の木村保監督は「子供たちが選抜の代表に選ばれたことは間違いない。それを自信にして、夏に向けて踏み進むしかない」と、東日本大震災も経験した選手たちにエールを送った。

長崎県の創成館高校は部員88人の大所帯。ほとんどの部員が共に寮生活しながら野球に打ち込んでいる。「甲子園まであと8日」と書いた紙が貼られたベンチ前で11日に中止の知らせを聞いた選手たちは泣きむせんだ。心理カウンセラーの資格も持つ稙田(わさだ)龍生監督は「見えない敵に負けたということ。誰にも責任がない」と選手たちを慰めた。

12日には選手たちを自宅に帰らせた。気持ちを切り替えたうえで、今月末までを目標に練習を再開させたいとしている。

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