【一斉休校】「過剰に怖がらせないで」感染症専門家

一斉休校期間中の予防法など、新型コロナウイルス感染防止の観点から、児童生徒への指導はどういうことに留意するべきか。感染症の専門家であり、政府の専門家会議の委員でもある岡部信彦・川崎市健康安全研究所長に聞いた。


無駄ではなかったが…
――政府がとった「全国一斉休校」の措置について、どのように見ているか。

専門家会議ではこの休校について、提言や提案をした事実はない。ただ、もう始まってしまったことなので、その中でできることをやっていかなくてはいけないだろう。

この措置についての評価は非常に難しいが、学校で感染が拡大したかもしれないリスクを押しとどめた可能性はなきにしもあらずで、無駄ではなかったとは言えるだろう。しかし、それにかかるマイナスの負荷を考えた場合、トータルの評価は著しく下がるのではないだろうか。

新型コロナウイルスは、高校生も含めた小児への感染の割合は世界的に見ても極めて低い。さらに小児が重症化することはまれだ。

また、国内で小児患者の発生がみられている地域は極めて少ない。それを踏まえると、学校や自治体単位の状況に応じて、学級閉鎖やその学校の休校措置をとる方法で十分ではなかっただろうかと思う。この段階で北海道から沖縄まで、全国で一斉に休校という判断に対しては、疑問に感じる。

――感染予防の観点からは、どのようなことが有効か。

現段階で特別なワクチンや予防法があるわけではないので、手洗いやうがい、必要に応じたマスクの着用など、感染症の基本的な予防法、つまりインフルエンザやノロウイルス感染に対するときと同じ方法を行ってほしい。

また発熱や咳(せき)などの軽いかぜ症状の時は、慌てなくてよいので4日ほど様子を見て、症状が続くようであれば、相談センターや医療機関などにまずは電話で相談してもらいたい。もちろん症状が強いようであれば4日間を我慢するのではなく、他の病気のこともあるので受診してほしい。

感染が起こりやすい状況として、狭くて換気の良くない環境の中で、至近距離で、大人数が飲んだり食べたりしゃべったりして一定時間過ごすことは、感染リスクが高いと言われている。

一方、それを避ければ外に出ることもいいだろう。広い空間では感染リスクはぐっと低くなる。例えば公園で遊んだり、散歩やジョギングをしたりなど、休校中の児童生徒は積極的に行って良いだろう。スポーツについても、例えばサッカーなど他人と一定の距離を保つことが多いものは、感染リスクが低いと見られる。

過剰に怖がらせない
――さまざまな報道が駆け巡り、不安を抱えている児童生徒もいるかもしれない。

1カ月もの間、自宅にこもりっぱなしで、家の中で連日の報道をテレビで目にしていると、子供たちもストレスや不安感が高まるだろう。過剰に怖がらなくてよいこと、その上で注意しなければいけないことを、教師や保護者が率先して伝えてほしい。

漠然とした不安を抱くよりも、根拠に基づいた注意点に留意して日常生活を送る大人の姿勢が、子供たちの安心感につながるのではないだろうか。

――子供の対応にあたる、現場の教員にメッセージを。

もちろんどんな病気でも「心配無用」とは言い切れないが、家庭や子供自身と連携をとりながら、子供と先生自身の健康状態の把握、管理に努めてほしい。「正しく恐れる」「冷静に対処する」といってもなかなか難しいだろうが、デマのような情報やフェイクニュースなどに惑わされることがないようにしてほしい。

また、子供のメンタル面も留意したい。1カ月という長期間、友達とも会えず、1人で家に閉じこもっているだけでは、気持ちがめいるだろう。外に出てきれいな空気を吸ったり、体を動かしたりしながらリフレッシュするよう、働き掛けてほしい。

普段忙しくて親子で触れ合う時間がなかなか取れなかった家庭では、逆にこれを利用し、親子で大いにしゃべったり、遊んだりする時間に充てるのもよいのではないだろうか。災い転じて福をなす、という言葉もある。

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