英語民間試験の入試活用「現実的」 自民、文科相に提言

大学入試改革で焦点となっている英語4技能の評価方法について、自民党の文部科学部会と大学入試英語の適正実施に関するワーキングチーム(WT)は3月17日、萩生田光一文科相を訪ね、各大学の個別入試における英語民間試験の活用が「現実的である」と結論づけた提言を手渡した。提言では、来年度から導入される大学入学共通テストで、英語4技能のうち「読むこと」「聞くこと」を実施。「話すこと」「書くこと」については、各大学が英語民間試験を活用しながら個別入試で対応するよう求めた。

提言を手渡した後、取材に応じる高階恵美子・文部科学部会長(中央)と原田義昭・ワーキングチーム(WT)座長(左)

同WTは、昨年12月から4カ月間に12回の会合でヒアリングや検討を重ね、小学校から大学までの英語教育を見渡した英語4技能の育成・評価について現状や意義を整理し、改革の方向性を提言にまとめた。これまでの議論では、大学入学共通テストでの英語民間試験の活用見送りを受け、英語4技能を育成・評価する中で大学入試をどう位置付けるかが焦点となった。

提言では、まず「大学入試は各大学の主体性と責任で実施されるものであり、各大学が自ら試験問題を作成し、評価・選抜する能力を持つことが基本」と位置付け、大学入試で英語4技能を評価するのが大学の責務だとの見方を明確にした。さらに、大学入試での英語4技能の評価に消極的な大学の存在を念頭に、「国が一定の環境を整備し、各大学の取り組みを推進することが必要」として国の支援を促した。

その上で、大学入試センターが来年度から実施する大学入学共通テストでは、英語4技能のうち「読むこと」「聞くこと」の評価を行う一方、「現状においては、『話すこと』『書くこと』の評価はなじみにくい」と明記。今後、試験の複数回実施も可能とするCBT方式やAI技術の活用の研究開発が進むまでの間、「各大学の個別入試において、既存の英語民間試験の成績活用を推進することが現実的」だと主張した。

また、大学入学共通テストでの英語民間試験の活用見送りを巡って議論となった地域格差や経済格差への対応として、「政府が十全な予算措置を講じるなど、地域格差や経済格差が生じず、障害のある受験生への配慮が十分なされることが不可欠」と指摘した。英語民間試験の受験回数が高校3年生の2回に制限されていた点についても「受験生が受検しやすい環境を整える」として見直しを求めた。

高階恵美子・文部科学部会長(参院議員)は終了後、「英語4技能には、1点刻みで評価できる部分と、記述やコミュニケーションなど、ある一定の範囲で能力評価ができる部分がある。大学入試センターが実施している一斉試験に向かない部分を、どうカバーしていくかが議論になった」と説明。「大学入試センターが『話すこと』『書くこと』まで評価できる試験を実施できれば理想的なのかもしれないが、現行の一斉試験には向かない」と指摘し、現実的な選択肢として▽大学が自ら試験問題を作る▽民間の試験などを活用しつつ、その成績情報を参考にする▽両者を併用する――の3パターンを挙げた。

その上で、「本来、学習指導要領で英語4技能の総合評価を位置付けている以上、『話すこと』まで含めた評価ができるようにするべきだ、というのが部会で議論された大筋の方向性。例えば、中高生がスピーキングまで含めた試験を、校内の試験か、民間試験の活用によって受けられるように、環境整備を急ぐ必要がある」と指摘した。

原田義昭・WT座長(衆院議員)は「日本の英語教育は大きな理念を立ててきたが、必ずしもその通りに進んでいないのも事実。英語民間試験や共通テストも、当然ながら、考慮しなければいけない。しかしながら、大学が(英語4技能試験を)民間に委ねてしまうという意味では、今回の大学改革は、大学をしっかり刺激し、大学に命題を与えるものでなければならないと思っている」と述べ、大学入試で英語4技能の評価を担いきれないとして大学入試センターによる試験実施を求めている一部の国公立大学や私立大学をけん制した。

次のニュースを読む >

関連
関連記事