【入試改革】調査書の電子化目指す 協力者会議が初会合

大学入試に用いられる調査書を電子化し、受験生の主体性を多面的に評価する仕組みを具体的に検討する文科省の協力者会議が3月29日、初会合を開いた。高校の新学習指導要領に対応した最初の大学入試である2024年度実施の入試に向けて、調査書の電子化を目指す。年内には検討結果を取りまとめる予定。

大学入試の多面的な評価に関する協力者会議の初会合

文科省ではこれまで、各大学に対して、受験生が主体性を持って多様な人と協働して学ぶ態度を入試で評価するために、筆記試験に加え、高校の調査書や受験生が記入した資料などを積極的に活用するよう求めてきた。

また、学校における働き方改革や新学習指導要領における指導要録の見直しを踏まえ、紙の調査書を電子化し、大学入試でどう活用するかを検討する必要性があった。

大学入試における多面的評価を巡っては、すでに19年から教育情報管理機構による「JAPAN e-Portfolio」(JeP)が運用を開始し、生徒自身が生徒会活動や部活動、資格などの主体性に関わる活動を入力、蓄積し、JePに参画する大学が入試で活用する取り組みが始まっている。

協力者会議では、このJePの見直しも含め、大学入試における主体性の評価の在り方や、そのために必要な調査書などの資料の電子化に向けた制度設計について総合的に議論する。

協力者会議の主査を務める日本私立大学連盟教育研究委員会委員長の圓月勝博・同志社大学学長補佐は「調査書は紙ベースで膨大な量が高校から大学に提出されるが、高校の教員にとって負担が大きく、大学での活用にも限界がある。受験生の主体性は数値化できるものではない。これらをどうやって評価すべきか、議論しなければならない」とあいさつ。

この日の会合では、多岐にわたる論点を踏まえ、自由討論が行われた。

委員の日本私立大学協会大学教務研究委員会副委員長の明比卓・神奈川大学事務局長は「AO入試や推薦入試など、面接を行う試験では調査書を利用するが、一般入試で各大学が受験生一人一人の調査書を見ているかといえば、そこまでの余裕はない。調査書には『生徒会長をやった』『部活動の全国大会に出た』などの結果は載せることができるが、本来、一番評価したいのは、なぜそれに取り組もうとしたのかや、その結果を達成するまでの過程だ。それを採点から結果を出すまで短期間でやらないといけない一般入試で見るのはなかなか難しいのではないか」と疑問を呈した。

垂見裕子・武蔵大学教授は「主体性を評価する上では、経済的に不利な家庭にも開かれたシステムでなければならない。貧困層が排除されない手だてが組み込まれていることが重要だ。厳しい家庭環境にいる子供たちは、部活動や留学、ボランティアをする時間もお金もない。そうした体験がないから主体性が育つ機会が少ない。そうした受験生の背景に関する項目も入れるようにし、入試の際に考慮する必要がある」と強調した。

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