高大接続改革を問い直し 文科省と大学教授ら互いに反論

3月19日開かれた文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」の第4回会合では、英語民間試験や記述式問題を柱とした大学入学共通テストの導入につながった高大接続改革の意義について、根本的に問い直そうとする議論が展開された。同省初等中等教育局がデータを示しながら「高校の授業を改善しようとしても、大学入試が影響を与えている」と大学入試改革の必要性を主張すると、委員の大学教授らから「課題は入試改革だけでは解決できない」など反論が相次ぎ、溝の深さを際立たせた。

「民間英語検定で学習到達度は測れない」と指摘する渡部良典・上智大教授

席上、初等中等教育局を担当する矢野和彦・文科省官房審議官は、▽高校教育は、大学に進学するか否かにかかわらず、生徒が卒業後、社会で求められる資質・能力を育てようとしてきた▽しかし現実には、大学入試が、高校の授業改善に、影響を与えてきたことは否定できない――と説明。「授業で培われた生徒の能力が、大学入学者選抜で適切に評価されるよう、高大接続改革を進める必要がある」と強調した。

さらに、英語教師が英語で授業している割合を示すデータを例にとり、中学校では授業時間の「おおむね」あるいは「半分以上」を英語で授業している教師が75%前後を占めているのに対し、高校では学年が上がるにつれて英語で授業する割合が下がっている、と説明。

「高等学校が改革をしようとしても、入試が影響を与えている、と初等中等教育局では考えている」と述べ、英語民間試験の活用を含めた英語4技能を評価など、大学入試改革の推進を求めた。

これに対し、渡部良典・上智大学言語科学研究科教授は「ケンブリッジ英語検定、TOEFL、IELTSなどが日本の学習指導要領を研究して問題を作っているとは思えない。だから、民間の英語検定試験では、学習指導要領が示す学習の到達度を測ることはできないし、共通テストの代わりにもならない」と指摘。共通テストで民間英語試験を活用しても、学習指導要領に沿った英語4技能の到達度を評価することはできない、と批判した。

矢野審議官は「和訳だけ、英訳だけのいまの大学入試よりも、英語民間試験の方が有益と言っただけ」と反論。

渡部教授は「英検はいま年間360万人が受けている。それだけ多くの人が受けていても、日本人は相変わらず英語できないと言われている。それなのに、民間検定を大学入試に使えば、日本人は英語ができるようになると言えるのか」と返した。

末冨芳・日本大学文理学部教授は「高校教育の課題は入試だけで変えられるものではない。一方、最新の研究成果は英語で発信されるので、大学入試では英語4技能のうち『読むこと』と『書くこと』が中心になるのは当然」と述べ、学習指導要領に沿った学習到達度を測る機能を大学入試に求めることは難しいとの見方を示した。

また、両角亜希子・東京大学大学院教育学研究科准教授は、このやりとりに先立つ意見発表で、「入試は大事だが、期待しすぎないことが大切」として、「第1回会合で、教育の問題を入試で解決しようとしてはいけない、と話した。入試に過大な期待を寄せるのも違和感を覚える」と指摘。高校の学びを改善するために、大学入試改革が必要だという高大接続改革のロジックに異議を唱えた。

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