文科省の指針受け学校再開へ 細かい指導要請に戸惑いも

文科省が3月24日、学校再開に関するガイドラインを都道府県の教育委員会などに通知したことで、4月からの授業再開を目指す教育現場の動きが活発になってきた。文科省は学校再開に際し、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の感染予防を徹底したいとして、各学校に向けて児童生徒と教職員に毎朝の検温を求めるなど、10項目に及ぶチェックリストを作成した。子供たちが飛沫(ひまつ)を飛ばさないようにマスクの装着を指導し、給食の間は会話を控える、といった細かな要請もガイドラインに盛り込まれ、戸惑う自治体もあるようだ。

感染の拡大が深刻だった札幌市では3月16日から、子供たちの心身のケアにつなげようと、学年ごとに登校日をずらす隔日2時間ほどの「分散登校」を続けている。授業扱いとはせず、25日に終業式を迎えるが、「大きなトラブルはなかった」と市教委。保護者からは「少しでも学校に行けて子供は喜んでいた」と感謝される一方で、「感染リスクが心配」との声もあったといい、文科省の示した指針に沿った通常授業再開を慎重に検討しているという。

佐賀県は3月16日に県立学校の授業再開を予定しながら、県内初の感染者が確認されたことで急きょ取りやめていた。県教委は「換気の悪い密閉空間」「人の密集」「近距離での会話や発声」の3条件が同時に重なる場を徹底して避けた上で、県立学校の始業式を4月6日に行い、授業を再開すると決めた。

感染者の多い兵庫県にある人口約30万人の中核市、明石市は保護者の負担が重くなりすぎないようにと、3月16日に市立小中高で学校再開に踏み切った。再開にあたっては朝食後と夕食後の検温を児童生徒と教職員に求めるなど、独自の感染予防対策を徹底し、現在も続けている。

「16日の再開をどの学校も喜んでいた。子供たちも先生の言うことをよく聞いているようだ」と、市教委学校教育課の植垣文夫課長は学校再開の判断に胸を張る。ただ、新学期に向けて、文科省がガイドラインでマスク装着の指導を学校側に求めていることに、「子供たちみんなが学校でマスクを着けられるかと言えば、その状況にない」と懸念を表した。市内では備蓄マスクを医療機関に振り向けているという。

「まだ寒いかもしれないが、教室の窓を常に開けておき、1時間に1回くらいは大きな換気をする。手洗いも徹底させる。机の間隔も空ける」などの感染予防対策を講じて、新学期を迎えたいとしている。

校長会からも、文科省のガイドラインに盛り込まれた細かな要請をかなえられるかどうか懸念する声が上がる。

全国連合小学校長会(全連小)会長の喜名朝博・東京都江東区立明治小学校長は「マスクや消毒薬、非接触型体温計などの備品が圧倒的に足りていない」と指摘。「狭い教室の中では子供たちの間に十分なスペース確保も難しく、対話型のグループ学習ができないことも課題」とした。ただ「子供たちにとって友達と一緒に学べるのは不安解消につながる。保護者としても安心するのでは」と話した。

全国高等学校長協会(全高長)会長の萩原聡・東京都立西高校長は「新型肺炎対策はさまざまな視点からの対応が必要ということだろう。部活動は屋内型と屋外型で一律対応が難しく、相当な工夫が求められる」とした。

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