変形労働時間制は導入しない 高知県土佐町議会が意見書

高知県土佐町議会はこのほど、高知県と県教委に対し、公立学校教員に1年単位の変形労働時間制を適用しないことを求める意見書を全会一致で可決した。

昨年12月に、通常の勤務時間を延長し、代わりに夏休みなどに休暇のまとめ取りを奨励する1年単位の変形労働時間制を導入することができるよう、給特法が一部改正された。

文科相は「月45時間、年360時間以内」の時間外労働の上限指針の順守を、1年単位の変形労働時間制を導入するための前提条件であることを明言している。

意見書では、すでに小学校で約6割、中学校で約7割の教員がこの上限を超えて働いており、導入の前提条件すら整っていないと指摘。この法改正によって、日常における教員の労働環境の抜本的な改善がなされるとは言い難いとしている。

この制度を導入することで、▽教員はゆとりを持って子供と向き合い、個々の成長や発達に寄り添うことが困難になる▽時間をかけて授業準備をすることが一層難しくなり、子供の学力低下を招くことになる▽過労を募らせ夏休み前に倒れる教員が多く出る――といった懸念点を上げ、1年単位の変形労働時間制導入のための条例を制定しないことを求めた。

また、▽教職員の定数改善を行うよう国に要望すること▽教育の質の保障という観点から教員の労働環境の抜本的な改善を行うこと――も求めている。

町議会に意見書を提出した鈴木大裕議員は教育新聞の取材に、「昨年6月から土佐町の全教職員への聞き取り調査の中で、日々の生活の中で子供と向き合う時間、授業準備の時間すら十分に取れていない実態を知った。ほぼ全ての教員が、教員を増やすことで授業準備の時間を確保することを求めている」と実情を説明。

「今回の意見書は、『教員の労働環境は子供にとっての学習環境』という当たり前であるはずの視点に立ち戻り、作成した。変形労働時間制は、教員の労働時間をどうするかという視点になっている。そうではなく、守られるべきものは、子供にとっての学習環境だ。労働時間のつじつま合わせのような小手先だけの改革ではなく、『教育の質の保障』や『子供の学習権の保障』という観点からの、教員の労働環境の抜本的な改善が必要だ」と話した。

1年単位の変形労働時間制の導入反対を巡っては、土佐町議会以外にも、北海道の豊浦町議会、赤平市議会、室蘭市議会、仁木町議会、高知県の四万十市議会、須崎市議会で同様の意見書が採択されている。また、高知市議会では定例会一般質問において、教育長が「(1年間の変形時間労働制の)導入は考えていない」と答弁。愛知県豊橋市の定例会での代表質問においても、教育長が「導入は考えていない」と答弁している。

次のニュースを読む >

関連
関連記事