【学校再開に備える】学校再開へ 学習や行事、課題山積

春休み終了後の新学期から学校が再開されたとしても、1カ月以上の長期にわたる臨時休校によって、学習面や学校行事など、新年度の学校運営にさまざまな影響を及ぼすことが予想される。全日本中学校長会(全日中)会長の川越豊彦・東京都荒川区立尾久八幡中学校校長に、新年度の学校再開に向けた課題を聞いた。


新1年生の未指導部分の把握は学校だけでは困難

校長同士の連携が必要と語る川越・全日中会長

「教員にとっても子供にとっても、学校が始まる方向になったのは本当によかった。先の見えない暗闇の中に差し込む一筋の光だ」。川越校長は国や自治体の学校再開に向けた動きに、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

しかし、全日中会長として、一校長として、4月からの学校再開までに検討しなければならない懸案事項は山積みだ。本来、校長にとって春休みは、来年度の学校をどうするか、より具体的な経営方針を練る時期だが、新型肺炎の対応に追われ、じっくり考える余裕がないという。

最も心配されるのが、突然の臨時休校で未指導となってしまった前学年の学習内容を新年度にどうカバーするかだ。特に中学校の場合、小学校から進学してきた新1年生は、各学校で小学校ごとに異なる未指導部分を把握し、対策を立てなければならない。同校のある荒川区のように学校選択制を実施している場合、新入生の出身小学校はさらに増える。

川越校長は「学校単独で新入生の未指導部分を把握するのは困難だ。教育委員会の協力が必要不可欠になる」と指摘する。

部活動の大会は無観客試合の可能性も

4月からの学校行事も難しい判断を迫られることになる。同校では毎年、春休みに在校生が中心となって新入生歓迎会の企画や準備をしているが、今年はそれもできず、どういう形で新入生を迎え入れるか、教員も生徒も頭を悩ませているという。

学校行事の中でも、5月以降に予定されている修学旅行の実施が危うい。都内の中学校の修学旅行では、京都や奈良など、関西方面に新幹線を利用して行くところが多い。もし関西方面の新型肺炎の感染状況が落ち着いていなければ、生徒も楽しみにしている中学校生活最大級のイベントが延期や中止になりかねない。

延期となった場合、日程や行き先の変更は、団体列車や宿泊先の確保が難しい。仮に実施できたとしても、新幹線の車内をはじめとする感染防止対策を徹底するなど、例年以上に配慮すべき事柄は増える。

さらに、部活動の春の大会も4月下旬から地区予選が始まるが、休校中に練習もできず、体をあまり動かしていない状態でいきなり試合に臨めば、けがのリスクは高まる。このまま感染拡大が続くようであれば、大相撲のような無観客試合での大会開催も選択肢に入れざるを得ない。

全日中会長と共に日本中学校体育連盟(中体連)会長も兼務する川越校長は「選手にとって、観客席からの声援はとても大きな力になる。無観客試合となれば、プロのスポーツ選手以上に選手のパフォーマンスに与える影響は大きいのではないか。吹奏楽部の演奏会など、文化部の活動にも同じような懸念がある」と指摘する。

先を読んで対応できれば、教員や子供も安心できる

4月からの再開に備え、生徒の状況を把握しておくことも重要だ。休校期間中、家の中で過ごさなければならないことにストレスを感じている生徒も少なくない。

同校では、3月30~31日に「オープンスクール」と称した登校日を設定し、グラウンドを開放して体を思いきり動かしたり、課題で分からないところを習えたりする機会を設ける予定だ。そこでは、生徒にアンケートを実施し、心身の健康状態もチェックするという。
今回の突然の休校を、全日中会長としてどう考えるのか。

川越校長は「前例がなく、あらゆることを想定するしかない。まさに学校の対応力が試されている。しかし、1人の校長だけでは限界がある。今こそ、この危機をどう乗り切るか、アイデアを出し合うときだ。現場の細かな課題は校長が一番よく知っている。全日中は、文科省に必要な要望を出すとともに、ホームページを通じて情報共有を図っている」と強調。

その上で「またいつ、急に長期間学校を閉じなければいけない事態になるかも分からない。校長会として、この経験を次に生かしていく必要がある。先を読んで対応できれば、教員や子供に道筋を示すことができ、安心感にもつながる」と話した。

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