コンピューター学ぶ教科創設を 教育再生実行本部で提案

小学校段階からコンピューターについて学ぶ教科が必要――。自民党の教育再生実行本部は3月30日、「教育の多様性を考える特別部会」を開催した。小学校でのプログラミングの必修化を受けて、各地での教員研修や教材提供を行っている「みんなのコード」の利根川裕太・代表理事は、プログラミングやネットワーク、情報モラルなどを体系的に学ぶ教科「コンピューター」を小学校から設けるべきだと提案。主査の馳浩・衆院議員(元文科相)は、家庭学習への活用を含めたGIGAスクール構想の見直しに意欲を示した。

小学校と自民党本部をつなぎ、ウェブ会議方式で開催された教育再生実行本部の特別部会の様子

この日の会合では、政府の教育再生実行会議技術革新ワーキンググループの委員も務めた利根川代表理事の講演に続き、ウェブ会議システムで三重県と栃木県の小学校をつなぎ、新学習指導要領の全面実施を間近に控え、プログラミングやICT教育に先駆的に取り組む教員らへのヒアリングが行われた。

利根川氏は「GIGAスクールに魂を入れる」と題した講演で、「GIGAスクール構想は、日本が21世紀のSociety5.0をリードする教育ができるのか、それとも、配ったタブレットが学校でただの文鎮になってしまうのか、大きな分かれ道にある」と指摘。子供たちがICTを駆使して社会にとって新たな価値を創造していく教育に転換する必要性を強調した。

さらに利根川氏は、こうした教育を実現するために、タイピングや情報モラルといった基礎から、コンピューターの仕組みや最先端の技術までを体系的・実践的に学び、コンピューターをよりよい社会づくりに生かそうとする態度を育てるための教科「コンピューター」の創設を提案した。

ウェブ会議システムによってプログラミング教育の事例発表を行った三重県亀山市立昼生小学校の谷本康教頭は、市内の小学校で低学年から行われている、さまざまな教科でのプログラミング教育の実践を紹介。プログラミング教育によって、児童のメタ認知能力や問題解決力が向上する、と報告した。

一方、谷本教頭は新学習指導要領への移行が目前に迫った現段階でも、プログラミング教育の実践には学校間で差があるとも指摘。その背景として▽教員がプログラミングを学んだ経験がない▽新学習指導要領では、各教科の中でプログラミングを学ぶことになっており、教科の狙いを達成するためのプログラミングとなってしまっている▽プログラミングがフィットする教科とそうでない教科がある――ことなどを挙げた。

さらに、利根川氏の提案について、谷本教頭は「コンピューターを教科として組み込むことは考えられると思う。教科となれば、教員も真剣に取り組めるし、学びの系統性も明確になる。情報セキュリティーや情報モラルもその中で教えればいい」と積極的に支持する意見を述べた。

2019年4月に開校したばかりで、校内無線LANの完備や学習者用タブレット端末の300台配置など、ICT教育に力を入れる栃木県小山市立東城南小学校の小島寛義教諭は、各教科でICTを活用することで、どのような学習効果が出るのかを報告。グーグル社と連携した画像認識アプリを開発する授業で、児童が自分で開発したアプリを保護者に示し、グーグルのアンケート機能を使って、保護者が児童にアプリへの評価を返す実践などを紹介した。

小島教諭は「例えば、国語の授業では、文字を書くのが苦手な児童が、文章を修正していく過程で思考を深めることができる。1年間の実践を通して、ICTの活用によって、教科の本質を学ぶ時間を確保し、児童のつまずきを回避できることが見えてきた」と成果を語った。

また、小島教諭は、教科の学びを深めるまでに、コンピューターの技能を身に付ける段階や情報モラルの指導が不可欠であるとして、核となる学びの場として教科「コンピューター」の創設に賛同した。

一連の議論を踏まえ、主査の馳浩・衆院議員は「いよいよ4年間をかけてGIGAスクール構想を実行するが、今回の一斉休校を受け、構想を3年で実現できるようにし、(家庭への)持ち帰りをスタンダードにすることを国の方針としてやろう、という状況に来ている」と述べ、新型コロナウイルス感染症による一斉休校の経験を経て、GIGAスクール構想の前倒しと家庭学習への活用を含めた構想の見直しに意欲を示した。

そのうえで馳議員は「GIGAスクール構想が本当の意味での学力を身に付け、こうした緊急事態、非常事態にも対応でき、不登校の児童生徒への対応も可能となるようなものにしなければいけない。GIGAスクール構想があるから学校が必要ないとは一言も言っていない。逆に、学校があるからこそGIGAスクール構想の横展開ができる。相乗効果を目指していく必要がある」と強調した。

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