新型コロナウイルス感染症の感染が都市部を中心に拡大する中、萩生田光一文科相は3月31日の閣議後会見で、「子供たちの感染防止に万全を期した上で、基本的に学校を再開することが望ましい」と述べ、全国の学校現場に新学期からの再開準備を進めるよう改めて求めた。

一方、「東京都や大阪府のように、感染経路が分からない都市部もある」として、「地域ごとの判断により、新学期においても臨時休校を実施する可能性も視野に入れておく必要がある」と指摘。感染者が増加している自治体が休校にするか判断する指針として、「臨時休業の実施に関するガイドライン」に具体的な内容を追加していく考えを表明した。
新学期からの学校再開を巡っては、安倍晋三首相が同28日の記者会見で、「子供たちの健康、命がかかっており、それだけ慎重な対応が必要だ」と述べ、近く政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の専門家会議を開き、改めて専門家の知見を求める考えを示している。
萩生田文科相は「爆発的な感染流行を伴う大流行につながりかねない状況であり、『ひとりひとりの行動変容』『強い行動自粛の呼びかけ』が必要な厳しい状況には変わりない」との認識を表明。全国の教育関係者や自治体に対し、「引き続き警戒を一切緩めることなく、24日に示した学校再開ガイドラインを踏まえ、3条件(密閉空間、人の密集、近距離での密接な会話)の回避を徹底し、学校再開の準備を進めてほしい。基本的にその方針には変わりはない」と、新学期からの学校再開を進める考えを強調した。
その上で、「自治体ごとにかなり感染の拡大状況が異なっている。どこで線を引くかは非常に難しいが、多くの感染者が発生している都市部の自治体には、文科省から直接自治体の教育部局に連絡を取り、一律のガイドラインを踏襲するのではなく、地域ごとに事情が違うから、教育委員会や衛生部局とよく相談して対応を考えてほしいと伝えている」と、対応状況を説明。「ここから先は地域によって対応が変わってくると思う。基本的な方針は守りながら、柔軟な対応をしていきたい」と、地域事情を重視する考えを示した。
3月24日に通知した、臨時休業の実施に関するガイドラインについては、「未知のウイルスなので専門家の知見や根拠になるエビデンスは少ない。その中で専門家会議の意見を踏まえながら、学校で感染者が出た場合の出席停止や臨時休業の判断について、より具体的なプロセスを示していくことが必要だ」と述べた。
具体的な例として「例えば、読書が趣味で休み時間は部屋から出ないA君と、休み時間は隣の教室まで出ていき、サッカー部のキャプテンで、グラウンドで異学年の子供たちとも接触のあるB君では、同じ1人でも環境が違う。児童生徒の保護者が感染したケースも考えていかなければいけない」と説明。「文科省が一律に『(感染者が)1人出たら全校休校』と言うのは、やや乱暴だ。そういうことも柔軟に対応していきたい」と話した。
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