専門家会議 オーバーシュートなくても「休校は選択肢」

政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は4月1日、中央合同庁舎4号館で会合を開き、東京、神奈川、大阪、兵庫、愛知などの大都市部の感染拡大と医療体制の状況に強い危機感を表明。それらの地域を「感染拡大警戒地域」とみなし、爆発的な感染拡大(オーバーシュート)が起きていなくても、「地域内にある学校の一斉臨時休校も選択肢として検討すべきである」と指摘した。これを受けて、文科省は3月24日付で通知した「臨時休業の実施に関するガイドライン」を改訂した。新学期のスタートを目前に控え、自治体は大都市部を中心に学校を再開するか休校を続けるか、ぎりぎりの判断を迫られることになる。

専門家会議の内容を説明する西村康稔経済再生担当相

会議終了後、記者団の取材に応じた西村康稔経済再生担当相は「いまは緊急事態宣言を出す状況ではない。多くの専門家から東京での感染拡大の状況、医療体制の状況に、大変強い危機感の表明があった。なんとしても感染拡大を防止しなければならない。まさに、瀬戸際の瀬戸際、ぎりぎりのところにきている」と、会議の概要を説明した。

学校を巡る議論では、オーバーシュートが起きていない段階でも、地域別の感染状況を「感染拡大警戒地域」「感染が収束に向かい始めている地域、ならびに一定程度に収まっている地域」「感染状況が確認されていない地域」の3つに分けて対応する考えを表明。感染状況が拡大傾向にある地域では、休校も一つの選択肢と提言した。「感染拡大警戒地域」は、3月19日の提言で「感染状況が拡大傾向にある地域」としていた区分の呼び方を改めた。また、休校を判断する際には、生活圏を考慮して判断していくべきだとの考えも示された。

西村担当相は「3月19日の専門家会議では、オーバーシュートした段階での3つの区分けを示した。今回はオーバーシュートしていない段階でも、3つの区分けがなされた」と述べ、専門家会議として、オーバーシュートが起きていなくても、一斉休校を対策の選択肢とするよう提言したことを説明した。

また、子供と新型コロナウイルス感染症については、「子供は、感染が伝播していくドライビングフォース(駆動力)にはなっていない、という評価だ。しかし、コミュニティーで感染が広がると、それが子供につながる。子供の場合は家庭内の感染が多いが、引き続き、子供の健康を守る観点から注意が必要だ」と話した。

その上で、「専門家からは、大都市部の東京、大阪、兵庫、愛知の感染拡大や医療体制も含めて、非常に強い危機感が示されている。学校については、専門家の判断として、3つの区分について、どんな数字をみながら判断していけばいいのか、という指針を示した。その中で、感染拡大している警戒地域は、一斉休校も選択肢ではないかとされている」と述べた。

新学期からの学校再開を巡っては、安倍晋三首相が3月28日の記者会見で、「子供たちの健康、命がかかっており、それだけ慎重な対応が必要だ」と述べ、改めて専門家会議を開いて専門家の知見を求める考えを示していた。

休校判断に5つのポイント

改訂された臨時休業の実施に関するガイドラインでは、児童生徒や教職員に感染が判明した場合、休校するかどうかを判断する基準として、5つのポイントを示した。

ガイドラインの改訂について説明する文科省の担当者

ポイントは、▽学校内の活動の態様=感染者が学校内でどのような活動を行っていたか確認する▽接触者の多寡=不特定多数との接触がないか確認する▽地域における感染の状況=地域に感染者が出ていない場合や地域における感染経路が判明している場合、休校を実施する必要性は低い▽感染経路の明否=学校内で感染者が複数出た場合、学校内で感染した可能性があり、休校の必要性は高まる。学校外で感染したことが明らかな場合、休校の必要性は低い▽その他=まだ解明されていないことが多い感染症であることを踏まえ、個々の事例ごとに休校の必要性、実施する場合の規模や期間について、衛生主管部局と相談の上、検討する――の5つ。

また、感染者がいない学校を含めた、地域一斉の臨時休校については、「感染状況が拡大傾向にある地域」(感染拡大警戒地域)で検討すべき項目として挙げた。専門家会議では、感染拡大警戒地域について、▽直近1週間の新規感染者やリンクなしの感染者数が、その1週間前と比較して大幅な増加が確認されているが、オーバーシュートと呼べるほどの状況には至ってない▽直近1週間の帰国者・接触者外来の受診者が、その1週間前と比較して一定の増加基調が確認される▽医療提供体制のキャパシティーなどが近い将来、切迫性の高い状況、またはその恐れが高まっている状況――を挙げており、文科省はそれをガイドラインにも明記した。

その上で、改訂されたガイドラインでは、感染拡大警戒地域では、時差通学や分散登校など学校運営上の工夫や、臨時休校を考えるとした。

ガイドラインの内容を説明した平山直子・初等中等教育局健康教育・食育課長は、学校設置者である自治体に対し、「不安なのはわかるが、専門家会議の提言や文科省のガイドラインをよく読んで、科学的に考えてほしい。学校は義務教育なので、臨時休校は本当に感染の恐れがあるときに発動するもの。冷静に判断してほしい」と説明した。

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