臨時休校中に教員がテレワーク 町田市が進めるICT化

新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)による臨時休校は、教職員の働き方にも影響を与えた。学校のICT環境整備を進める東京都町田市では、休校が決まった直後から教員が校務・指導兼用の端末を持ち帰り、自宅で仕事を行うテレワークも可能にした。テレワークにも対応できるICT環境や臨時休校に関する取り組みから見えてきた可能性について、市教委学校教育部の金木圭一・指導室長(当時)に取材した。


テレワークを可能にするICT環境の整備

テレワークを実現したICT環境について説明する金木指導室長(当時)

町田市では昨年度までに、市内に62校ある市立小中学校に、各校40台ずつの学習者用端末を配置するとともに、授業で使用する指導用と校務用を兼ねた教員用端末を1人に1台整備した。これらの端末には、全てグーグル社の「Chromebook」を採用した点が大きな特徴。クラウド上での使用を前提としていることから、インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも作業できる。この強みが、今回の臨時休校でテレワークの実施に踏み切れたポイントとなった。

市教委では、端末上にデータが保存されない「Chromebook」を採用する中で、シンクライアント環境で校務統合型支援システムを活用できるネットワークを構築。児童生徒の個人情報などのデータは、このシンクライアント環境のネットワークで管理するようにした。その上で、個人情報などを扱わない業務はグーグルのアプリケーションを活用することで、教員同士による共同作業なども可能にし、セキュリティーの確保と利便性の両立を実現した。

こうしたICT機器の配備やネットワーク環境の構築を進めたことで、町田市では、すでに教員が自宅に教員用端末を持ち帰っており、テレワークも可能な環境が整っていた。

そんな中、2月27日に安倍晋三首相による一斉休校の要請を受け、市教委も卒業式の実施方針や課題の用意などの対応に追われた。

そして、休校が始まった3月初めには、教員のテレワークを認める方針を市内の小中学校に通知した。テレワークを希望する場合、教員は校長に実施日と業務内容の申請を出し、テレワークを実施する日には、業務内容と始業、終業を報告。次の出勤時に成果を報告することにした。

金木指導室長(当時)は「例えば、子育てや介護をしなければならない教員が教員用端末を持ち帰り、自宅で仕事ができるようになれば、休日にわざわざ学校に出勤しなくても済む。今後、長期休業期間中のテレワークの実施も考えられる。今回の臨時休校でのテレワーク実施は、その検討材料になるだろう」と期待を寄せる。

市教委では現在、実際にテレワークをどれくらいの教員が申請したかを調査しており、課題などの検証を行う方針だ。

休校中の対応もICTで一工夫

テレワーク以外にも、町田市内の小中学校では、グーグルのアプリケーションを活用したさまざまな取り組みがみられた。

例えば、各教室と校長室をビデオ会議ツールでつないで終業式を実施した学校や、QRコードを読み取ることで簡単なアンケートなどができるアプリケーションを利用して、保護者が子供の健康状態を回答したり、休校前にQRコードを添えた社会科の課題プリントを生徒に配り、家庭のコンピューターやスマートフォンなどから調べたことを提出させたりした工夫がみられたという。こうした好事例は、市教委のホームページでも紹介し、各学校に横展開している。

一方で、想定外のケースもあった。例えば、子供の居場所確保のため、学校で子供を預かることとなった際、その利用申請書を学校ホームページに公開したものの、プリンターのない家庭から「印刷できないがどうすればよいか」との問い合わせを受けたという。学校で利用申請書を急いで印刷して対応したものの、新たな情報を全ての家庭にどう周知させていくか、課題が残った。

金木指導室長(当時)は「1人1台環境がもっと早く実現し、子供が端末を家庭に持ち帰ることができていれば、授業配信など、他にもできたことはたくさんあった。現状では、家庭のネットワーク環境が異なる中で、さまざまな学習支援サイトを使える家庭とそうでない家庭があることを認識すべきだ」と指摘した。

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