未来投資会議、麹町中のAI実証評価 授業時数の見直し求める

政府の未来投資会議(議長=安倍晋三首相)は4月3日、首相官邸で会議を行い、東京都千代田区立麹町中学校で2年間にわたって取り組まれたAI教材の実証事業について、標準授業時数を大幅に短縮して知識・技能の習得を果たしたと高く評価。こうした成果を広く活用するため、教科ごとに学年別で定められている標準授業時数の見直しを文科省に求めていく考えで一致した。

未来投資会議終了後、会議内容を説明する西村康稔経済再生担当相

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う休校措置を受け、2023年度までに1人1台端末の整備を進めているGIGAスクール構想の前倒し実施を確認。萩生田光一文科相は席上、「家庭での学習支援などに取り組む」と述べ、ICTを活用した家庭学習への支援を積極的に進める考えを表明した。

この日の未来投資会議では、新型コロナウイルス感染症による経済への影響や、「ビヨンド5G」と呼ばれる次世代の移動通信システムなどとともに、学校現場におけるオーダーメイド型教育として遠隔教育やGIGAスクール構想などが取り上げられた。

このなかで、経産省が取り組んでいる「未来の教室」実証事業の一つとして、工藤勇一前校長が麹町中学校で進めたEdTechベンチャー企業COMPASS社のAI教材、キュビナ(Qubena)を活用した事例を紹介。

2年生の数学で授業時数63時間分の単元学習をわずか31時間に短縮して修了させ、創出された32時間を使い、3年生の単元である「展開と因数分解」や「平方根」を先取りして学習したほか、ドローンを使った幾何学の演習などSTEAM教育に取り組んだ成果が示された。

内閣官房日本経済再生総合事務局によると、こうした議論の中で、萩生田文科相は「感染拡大の緊急時に、子供たちの学びの機会の保障が必要。今後、1人1台端末の早期実現や家庭でもつながる通信環境の整備、ICT支援人材やコンテンツの充実を進め、家庭での学習支援などによる対策に取り組む」と発言。家庭へのルーター配布などによる通信インフラの整備も含め、家庭学習の環境整備を積極的に進める考えを表明した。

さらに「授業時数やデジタル教科書など、新しい時代の初等中等教育の在り方に関しても検討を進めている。この危機的状況を乗り越えて、誰一人取り残さない個別最適化された学びを実現していきたい」と述べ、学校教育法施行規則で定められた標準授業時数の見直しに意欲を示した。

会議終了後、記者会見した西村康稔経済再生担当相は、学校のICT環境整備を巡るこの日の議論について、「学校現場では1人1台端末の前倒し実現を図るとともに、AIの活用で一人一人の生徒の状況に応じた学びが可能となることを踏まえ、特定科目の授業時間を柔軟に増減できるような検討を進めていく」と総括。標準授業時数の見直しについては、「文科省で検討を進め、そういう方向で実現をしていきたい」との政府の考えを説明した。

また、2023年度をゴールとしているGIGAスクール構想の前倒し実現について、「緊急経済対策とそれを実現する補正予算の中で、できる限り前倒しをしたいと考え、検討を進めている」と述べた。

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