遠隔授業などでの著作物配信 今年度は補償金を無償化

新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の感染拡大で遠隔授業に乗り出す学校が増えていることを受け、萩生田光一文科相は4月7日の閣議後会見で、著作権法の改正で創設された「授業目的公衆送信補償金制度」について、当初の予定を前倒しして今月中に施行することを表明した。これに先立ち、同制度の指定管理団体である「授業目的公衆送信補償金等管理協会」(SARTRAS)は4月6日、制度がスタートする今年度に限り、特例措置として補償金を無償とすると発表した。

補償金を無償とした経緯を説明するSARTRASの記者会見

学校が教科書に載っている文章や問題、音楽などの著作物を遠隔授業の教材としてインターネット上で配信(公衆送信)するためには、現状では個別に著作権者に許諾を得る必要がある。このため、学校での遠隔授業の普及を見越し、2018年に成立した改正著作権法では「授業目的公衆送信補償金制度」が導入され、学校が補償金を指定管理団体に支払えば、著作権者の許諾を得なくても授業目的の公衆送信を可能としたが、施行はまだされていなかった。

こうした中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で遠隔授業を活用する学校が増えたため、文化庁は同制度を約1年早めて施行することにした。

補償金の具体的な金額については、SARTRASを構成する著作権管理団体の間で協議が進められた結果、社会的な公益性を踏まえ、20年度に限り特例として、補償金を無償とすることを決めた。4月中旬にも文化庁長官に認可申請を行う。

4月6日に文科省で開かれた記者会見で、瀬尾太一・SARTRAS常務理事は「補償金を無償としていなければ、今年度の予算が決まっている学校にとっては遠隔授業で著作物を使いたくても使えない状況になってしまう。この1年間は教育機関と協力関係を築く期間だと考えている。学校にもできるだけ、著作物を利用する際は登録を求めていき、団体として実態把握に努めたい」と説明した。

SARTRASでは、制度の施行に伴い、学校の教員向けに授業における著作物の公衆送信に関するガイドラインを作成。遠隔授業などでの適切な著作物の利用を促す。

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