【詳報】文科省・緊急経済対策 感染防止策と学びの保障

新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の感染拡大に対応するための緊急経済対策パッケージとして、4月7日に閣議決定した108兆円規模の2020年度補正予算案。2763億円を計上した文科省関連の予算案では、2023年度を目標としていた学習者用コンピューターの1人1台環境を今年度内に完了させる、GIGAスクール構想の前倒しなどが目玉となる。新型肺炎対策としての文教関係予算案を総覧する。


学校再開に向けた支援

安倍晋三首相の要請を受けて、3月2日から始まった全国一斉の臨時休校により、未指導の学習内容の補充や子供たちの心のケアなどが課題となっている。新年度に入っても感染拡大は収まらず、学校再開は地域によってばらつきが出ているのが現状だ。学校再開に向けては、消毒などの感染防止対策を徹底する必要もある。

2020年度補正予算案の文教関係の主要項目

補正予算案では、こうした学校における感染症対策として、全国の小、中、高校、特別支援学校、高等専修学校などの児童生徒、教職員に対して、4月中に1枚、5月以降に1枚、計1人2枚の布製マスクを配布。布製マスクや消毒液、非接触型体温計などの保健衛生用品を購入する学校設置者を支援する。

幼稚園では、教職員に対して布製マスクを配布するとともに、子供用マスク、消毒液、感染防止のための備品などの購入費用を、特別支援学校では、スクールバスの感染リスクを低減するため、1台のバスに乗車する子供の少人数化を支援する。これらの学校における感染症対策事業に137億円を投じる。

また、感染症予防の観点から、学校のトイレや給食施設などの改修、体育・スポーツ施設における換気扇の整備など衛生環境の改善を推進するため、106億円を計上。内訳は▽公立学校など 57億円▽国立大学など 46億円▽私立学校 3億円。

学習指導や心のケアへの対応として、休校に伴う未指導分の補習を支援する学習指導員の追加配置や生活リズムが乱れた子供のケアを行うためのスクールカウンセラーの追加配置、教員加配について8億円を盛り込んだ。

4月7日夕に開かれた臨時閣議後の記者会見で、萩生田光一文科相は「(緊急事態宣言の)指定区域で5月6日までに解除ができれば一番ありがたいが、少し長引くような事態も想定をしながら準備をしていかなければならない。授業再開後にしっかりとリカバーができるような体制で、必要なマンパワーを現場に送り込むという、そういう準備をさせていただく」と、臨時休校が延びた場合も想定した対応であることを強調した。

家庭などへの経済支援策

保護者の経済的な負担を軽減するため、修学旅行の中止や延期によって発生したキャンセル料について、自治体に対して一定の所要額を補助したり、休校中の学校給食費の保護者への返還や食材のキャンセル料の学校設置者負担となる費用を支援したりするほか、子供の自然体験活動や運動遊び、文化芸術に触れる機会を創出するための支援を行う。

家計が急変した世帯の高校生には、授業料減免や高校生等奨学給付金を通じた支援を実施。就学援助の柔軟な対応も要請する。大学生についても、4月からスタートした修学支援新制度による奨学金や授業料減免などを行うだけでなく、各大学による授業料の納付猶予や独自の授業料減免を含む配慮を促す。こうした高校生、大学生などへの経済的な支援に7億円を充てる。

萩生田文科相は「家計の急変に関しては、柔軟に対応していきたいと思っている。(高校生や大学生の支援策は)もともとある制度で十分(な予算額を)確保してあるが、(家計の)急変によって利用者が増えるかもしれないということで積ませていただいた予算だ」と説明した。

休校中の学びの保障

文科省では、休校中における子供たちの学びを保障するため、遠隔授業をはじめとするオンラインなどを活用した家庭学習と、教師による対面での学習サポートを組み合わせた支援に取り組むとともに、ICTを活用して家庭でも学び続けられる環境を急ピッチで整備する。

紙の教材やテレビ放送、オンライン教材、同時双方向型のオンライン指導など、学校や児童生徒の実態に応じた多様な家庭学習を支援。家庭でICTを使った学習を行った際に、通常の学校での授業に参加した場合と同様に評価できるようにする。これらの学びの保障に、文科省補正予算案の8割を占める2292億円を計上した。

具体的には、オンライン教材を活用した学習として、文科省の「子供の学び応援サイト」を充実するとともに、経産省の「未来の教室」事業とも連携。スマートフォンや家庭のコンピューターを活用した、テレビ会議システムなどによる同時双方向型のオンライン指導や健康観察などを実施し、学校と子供、家庭のつながりを維持する。学校が整備する端末を家庭で活用する際のガイドラインも新たに策定する。

さらに、GIGAスクール構想を一気に前倒しし、今年度中に義務教育段階の1人1台環境を実現。障害のある児童生徒に対しては、入出力支援装置も整備する。Wi-Fi環境がない家庭に対するモバイルルーターの整備や、教師と児童生徒間の同時双方向のやり取りをしやすくするためのカメラやマイクの整備を進める。モバイルルーターの通信費については、自治体が負担することを想定している。

大学などの高等教育段階においても、27億円を投じて、遠隔授業の実施に必要な環境整備や学生に対する通信料の負担軽減などに取り組む。

記者会見では、このGIGAスクール構想の前倒しに関する質問が相次いだ。端末の整備の進め方について萩生田文科相は「緊急事態宣言の指定区域内では、実際に学校に子供が来ないことが前提となる。例えば高速大容量のインフラ整備などは子供がいない方が工事がしやすいので、その工事を進めてもらおうと思っている。他方で、パソコンやタブレットの購入は、自治体が判断をすればすぐに購入できるようになっているので、特にこれから長期にわたって、1カ月間学校が休校する自治体については、できる限り早期の購入を促す」と述べた。

さらに、子供への端末の貸し出しについては「(緊急事態宣言で)指定された7都府県については、家庭にあるパソコンやタブレットを子供の授業で使えるかどうかということを確認していただいたうえで、それを使えるのだとすれば、その家庭はそれを使っていただく。そして、持っていない家庭には、できる限り学校にあるパソコンやタブレットを持ち帰り、Wi-Fi環境が整っていなければ、ルーターを文科省として借り上げるので、それを貸与して、授業を行っていきたい」と要請した。

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