【コロナと学校】公立校のオンライン授業 各地の試み

新型コロナウイルスによる休校が長期化し、オンライン授業に乗り出す自治体が増えている。公立学校におけるオンライン授業には、どのようなやり方があるのか。同時双方向型のオンライン授業に取り組む熊本市と岐阜県の試みを取材した。


熊本市

市内の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、5月6日まで市立学校を臨時休校としている熊本市は、4月15日から、小学3年生から中学3年生を対象にしたオンライン授業を開始した。ビデオ会議アプリの「Zoom」や授業支援アプリの「ロイロノート」などを活用し、児童生徒の健康観察や課題の提出、添削など、学校と家庭の双方向のやり取りを行う。

オンライン授業に対応した資料を公開している熊本市教育センターのホームページ

5月6日までの休校が決まってから、同市ではオンライン授業の実施を見据え、各家庭のインターネット環境について無記名のアンケートを実施。その結果、3分の2の家庭にパソコンやタブレット端末があることが分かった。インターネット環境が整っていない家庭には、各学校が所有するLTE対応のタブレット端末を貸し出すことで対応した。また、各校から2人ずつの教員が参加し、オンライン授業で使用するアプリの機能や健康観察、課題の提出方法を確認する研修も行われるなど、着々と準備が進められた。

同市教育センターの担当者は「熊本市では2018年度からタブレットの導入を進めており、19年度には全ての小中学校で3人に1台の割合で導入されていた。特に小学校では、普段からロイロノートなどを活用しており、児童も教員も慣れていたことが大きい」と話す。

一方で、中学校では今年度からタブレットの活用が本格化する予定だったため、教員も生徒も慣れておらず、指導主事がフォローしながらオンライン授業を実施しているという。

「動画の配信が多くなりすぎると、通信料の負担も重くなる。まずはZoomを使って子供たちの顔を見ながら健康観察をしたり、ロイロノートで児童生徒が取り組んだことに教員がコメントを返したりすることから始めていく。その後は、子供同士での通信などにも発展していけたらと考えている」と同市教育センターの担当者。

また、同市では県内のテレビ局と連携して、4月20日から各学年に対応したテレビ授業「くまもっと まなびたいム」を放送する。同市教育センターの担当者は「学校教育の完全な代替にはならないが、オンライン授業、プリントなどの課題、テレビ授業をうまく活用してもらい、少しでも子供たちの学習権を守っていきたい」と話した。

岐阜県

4月10日に「非常事態宣言」を出し、5月6日まで休校が延長された岐阜県は、県立高校、特別支援学校で休校期間中のオンライン授業を開始する。

各学校でウェブ会議システムを使い、学校の教室で教師が授業をする様子をリアルタイム配信。生徒は自宅のパソコンやスマートフォンなどから授業を受けられる。授業は双方向型のため、生徒からの質問なども受け付けることができる。

ウェブ会議システムの回線は各学校に1つしかないため、1日の中で3学年の授業をシェアする必要がある。通常の50分の授業では長すぎるため、学校ごとに1コマ30分程度の時間割が組まれ、教科書や春休みの課題を踏まえた授業が実施される予定。

現在、各学校では具体的な授業科目や時間割の作成などの準備を進めており、早いところでは4月20日にもオンライン授業がスタートする。

家庭のインターネット環境などによって動画配信を視聴できない生徒に対しては、配信した動画を保存したDVDを郵送したり、県の備品を貸し出したりして対応する。非常事態宣言で外出自粛が求められているため、生徒を登校させてコンピューター教室で視聴させることはしない。

オンライン授業の取り組みは県としても初めての取り組みとなるため、テスト配信のときにはうまくいっても、実際に始まると接続のトラブルなどに見舞われることも考えられる。そうしたことを想定し、県教委ではワーキンググループを設け、各学校のサポートに万全の態勢で臨む。各学校でも、昨年度に制度化されたICT活用推進リーダーになっている教員を中心に、トラブルなどへの対応を行うこととしている。

県教委の担当者は「岐阜県はネットワーク環境が比較的広範囲で整っていた。新型コロナウイルスによる長期の休校で何ができるかを検討した結果、オンライン授業を実施することにした。あくまでもこれまでの紙による課題にしっかり取り組んだ上で、オンラインで補完するという考えだ」と説明した。

次のニュースを読む >

関連
関連記事