教職課程の実施は柔軟に 文科省がQ&A形式で通知

新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の拡大により、多くの学校で臨時休校が長引き、大学や専門学校などで教職課程の実施に支障をきたしている実情を踏まえ、文科省は4月17日付で、「2020年度における教職課程等の実施に関するQ&A」をまとめ、教職課程を置く国公立大や都道府県の教育委員会などに送付した。教育実習の事前、事後指導を遠隔授業で行うことも認めるなど、学生が在宅でも教員免許状の取得に必要なカリキュラムを進められるよう、大学や専門学校に講じてほしい具体的な取り組みを示している。

同省が「Q&A」を作成したのは、萩生田光一文科相が4月3日の閣議後会見で、今年度の前期に教育実習を行うことは難しく、秋以降に変更したいとの認識を示したため。同日付で同省は都道府県教委などに教育実習実施に当たっての留意事項を通知した。これに対して、大学や教委から問い合わせが多かったことから、教職課程全般にわたり、感染症対策を踏まえて実施してほしい事項を「Q&A」形式で具体的にまとめた。

教育実習の実施時期については「必ず秋以降に実施しなければならないということではなく、必要に応じて秋以降とすることも検討していただきたい」とした。介護体験についても同様だとした。

感染拡大の影響により、教育実習で履修すべき内容や活動の見直しが迫られたときは、教育実習の事前、事後指導などで補ってほしいとした。例として、1単位あたり40時間で計画していたところ、30時間への変更を余儀なくされた場合は、1単位あたり30時間の実習に合わせて内容を見直し、減少した10時間分の内容は事前、事後指導などで補うよう授業内容を変更することを想定しているとした。

例年、春から夏にかけて実施していた教育実習を秋以降にずらした場合、中学校などでは定期試験の期間も活用しないと教育実習生の受け入れが困難となり、この場合は教師の補助的な役割が教育実習の主な学修内容となってしまうとの懸念には、「教育実習の内容、方法については受け入れ先の小学校などと相談しつつ、弾力的に検討していただきたいとしており、主な学修内容が教師の補助的な役割となることは、今年度はやむを得ないものと考えている」との認識を示した。

その上で、「教育実習中、十分に学習できない内容については、事前、事後指導などで学習できるよう、当初の計画を見直しておくことが重要」だとした。

教育実習の初日に教育実習の意義や心得、学生が留意すべき点などについて、小学校などの教師が説明することを夏休みや土曜日、日曜日に行うことも可能だが、その際には、教師の負担が過重となっていないか配慮することが求められるとした。また、教師が休みの土曜日や日曜日に教育実習の一部を行う場合は、教職員の勤務日や勤務時間を適切に振り替えることが必要だとした。

教委で作成したeラーニング教材を、学生が大学や自宅で学修することを教育実習の一部として実施するかどうかは、単に授業外の予習や復習に相当するような教材を学生に読ませるなどにとどまるのであれば、教育実習に相当する教育効果が担保できているとは言い難いとした。教委の指導主事が学生に教育実習の意義を説明するなどして、学生に質疑応答の時間も設けるなど、教育実習中に教師が説明する内容に相当する学修でなければならないとした。

教育実習の事前、事後指導を面接授業に代えて遠隔授業で行うことができるかについては、「可能な余地はあると考えられるが、遠隔授業で実施する場合でも、面接授業に相当する教育効果を担保することに留意することが必要」だとした。

文科省教育人材政策課は自宅での学修について、「単に講義みたいに教科書を読むのではなく、工夫してほしい。動画を活用して大学と双方向で確認したりするなど、通学しての授業とうまく組み合わせてほしい」としている。

また、教職課程の履修を通じて、教師として最小限必要な資質や能力が身に付いたかどうか、最終的に確認するための教職実践演習については、原則として4年生の後期(短大は2年生の後期)に実施するとされてきたが、今年度は教育実習の実施時期を秋以降に変更した場合、教職実践演習を夏までに行うこともできるとした。教職実践演習を遠隔授業で行うことも、面接授業に相当する教育効果を担保すれば可能だとした。

中学校の体育実技、技術科など実技系科目を面接授業に代えて遠隔授業で行う場合は「単なる講義に終わってしまうなど、実技としての性格を損なうことは認められない」とした。

養護教諭の臨床実習に関する授業科目については、新型コロナウイルス感染症の影響により、病院などの実習施設の代替が困難である場合は「学内での実習などで行うことも今年度はやむを得ない」とした。

文科省は、新型コロナウイルス感染症の今後の状況によっては、「Q&A」の内容を更新することもあり得るとしている。

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