【コロナと学校】学びの保障を求め自治体に通知 文科省

全国のほとんど全ての学校が臨時休校に追い込まれる中、文科省は4月21日、子供たちの学びの保障について調査した結果、「個別の児童生徒の学習支援や心身の確認状況などに自治体間に大きな差が見られる」として、臨時休校中に最低限取り組むべき事項をまとめ、都道府県の教育委員会などに通知した。さらに同省は、そうした最低限取り組むべき事項について、域内の市町村が対応できているか確認するためのチェックリストを通知と共に送付し、都道府県教委に報告するよう求める異例の措置をとった。

「学びの保障」への取り組みを自治体に強く求める萩生田文科相

この通知について、萩生田光一文科相は同日の閣議後会見で、「全国を調査したところ、いまだに児童生徒の手元に新年度の教科書が届いていない自治体や学校があることが確認された」と述べ、臨時休校した学校現場の現状に深刻な問題が起きているとの認識を示した。文科省が4月21日に公表した調査では、4月20日正午時点で、児童生徒に新年度の教科書が届いていない学校があるとしている自治体が、全国で65に上ることが明らかになっている。

さらに、チェックリストによる異例の報告を求めたことについて、萩生田文科相は「本当は文科省がここまで細かくやるのは、自治体に失礼なのではないかとも思った」と前置きした上で、「3月の休校は各自治体がいろいろな知恵を絞ってくれたが、今回は教職員にも学校に来ないよう指示している自治体が結構ある。そのままフリーズしてしまい、家庭訪問や個別登校などを通して、授業や学習の進捗(しんちょく)を確認できていない自治体が見受けられる」と指摘。「そういう取りこぼしがないように、学びの保障を各自治体にお願いしたい」と語った。

通知では、まず学習指導について、「臨時休校期間中であっても、自治体や学校が主体となって、児童生徒の学習を支援するための可能な限りの措置を講じることが不可欠」と指摘。「家庭任せにせずに、全ての自治体で責任を持って取り組むことを要請する」(萩生田文科相)姿勢を明示した。

家庭学習については「指導計画などを踏まえ、各教科で教科書やそれに併用できる教材による学習を課す」とし、学習計画表などを使って計画性を持たせる工夫を求めた。感染や濃密接触などによって出席停止措置となっている児童にも、郵送などの手段で教科書を速やかに届けることも課した。

児童生徒の学習状況についても「教師が随時把握し、指導に生かしていくことが重要」と位置付け、教師が定期的に個々の児童生徒と電子メールや電話、郵便などを活用して把握するよう明記した。

こうした家庭学習や学習状況の把握のためには「ICTを最大限活用して遠隔で対応することが極めて効果的」だとして、「自治体や学校の平時におけるICT活用ルールにとらわれることはない」と、非常時を前提とした対応を要請。BYOD(Bring Your Own Device)と言われる家庭のパソコン、タブレット、スマートフォンなどの利用や、学校の端末の持ち帰りなど、「ICT環境の積極的な活用に向け、あらゆる工夫をすること」を明確に打ち出した。

次に、児童生徒の心身状況の把握と心のケアについては、「学級担任を中心に、電話などを通じ、自宅で過ごす児童生徒や保護者との連絡を密にして、2週間に1回程度、児童生徒の健康状態を把握すること」を求め、その際には保護者だけでなく、児童生徒本人とも直接電話などで会話することを明記した。

また、児童虐待のリスクを踏まえ、要保護児童対策地域協議会に登録されている支援対象の児童生徒については、本人との電話などにより、1週間に1回以上の割合で、定期的に児童生徒の状況を把握することを求めた。

こうした心身状況の把握や心のケアのため、対面での指導の必要性が高い場合には、感染症対策を徹底した上で、短時間の最小限度の範囲で直接面談して指導することも選択肢として示した。

児童生徒と教師の対面による指導については、地域の状況などを踏まえ、「可能な場合においては、分散登校による登校日の設定や家庭訪問の実施など、教師による対面での学習指導および学習状況の把握を通じたきめ細かな対応を行うこと」を求めた。学校図書館についても、分散登校日の活用や、時間帯を決めた貸し出しなどの工夫を図るよう促した。

教職員の勤務については、臨時休校期間中であっても、「自身の健康に配慮する工夫を行いつつも、児童生徒の学びの保障を家庭任せにすることなく、必要な業務を確実に継続することが求められる」と明記し、義務教育としての学校の機能を維持する姿勢を鮮明に打ち出した。

具体的な項目としては、「児童生徒への学習指導や心のケアなど最低限取り組む事項については、出勤しているか在宅勤務であるかを問わず、積極的かつ速やかに取り組むこと」を求め、在宅勤務を理由に児童生徒への学習指導や心のケアに滞りが起きてはならないとの考えを明示した。

その上で、「児童生徒の学習に大きなつまずきが生じ、対面での指導が求められる場合や、心身の状況に懸念が生じ、正確な状況把握が必要な場合など、在宅勤務では対応できず、児童生徒や保護者と対面することが必要な状況も考えられる」として、その場合には「個別または極めて少人数集団での指導や家庭訪問の実施などを含め、適切に対応すること」と記し、必要に応じて対面指導を含めて対応を考えるよう学校現場に促した。

また、在宅勤務には「ICTを活用したテレワークが業務の継続性からも極めて有効」として、ここでも平時におけるICT活用ルールにとらわれることはないとの考えを示し、学校にある端末の持ち帰りや家庭端末の活用を求めた。

文科省はこの通知と共に、域内の市町村が対応できているか確認するためのチェックリストを都道府県教委に送付し、4月28日までに文科省に報告するよう求めた。市町村別の報告を求めたチェックリストの項目は下記の通り。各項目には〇×での解答を求めている。

  1. 家庭学習
    ①すべての児童生徒について、教科書の給与が完了しているか。
    ②各教科等について、教科書及びそれと併用できる教材等に基づく家庭学習を課しているか。
    ③家庭学習を課す際には、「学習計画表」なども参考に、計画性を持って課しているか。
    ④個々の児童生徒との間で、電子メール等のICTや電話、郵便等を利用して、学習指導や学習状況の把握を行っているか。
    ⑤家庭環境やセキュリティにも留意しつつ、家庭のパソコンやタブレット、スマートフォン等の活用、学校の端末の持ち帰りなどあらゆる工夫をしているか。
  2. 児童生徒の心身の状況の把握と心のケア等
    ①電話等を通じ、定期的に児童生徒の心身の健康状態を把握しているか(概ね2週間に1回程度)。
    ②要保護児童対策地域協議会に登録されている支援対象の児童生徒について、本人との電話等により、定期的に児童生徒の状況を把握しているか(概ね1週間に1回以上)。
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