Withコロナ時代の教育を NYのオンライン授業を事例に

新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)対策による臨時休校は、世界中の子供たちに多大な影響を与えており、他国でも学びを止めないためにオンライン授業の導入が進められている。世界でも深刻な状況にある米国東部に本校を置く、ニューヨーク育英学園などのオンライン授業への取り組み事例から、新たな教育の在り方を学ぶオンラインイベントの第1回が4月21日、開催された。

ニューヨーク育英学園では、教育の新たな形をオンライン授業で模索しているという

「NYの今・NY育英学園オンライン授業の現状、日本の私立のオンライン授業最前線」と題された同イベントは、東京都調布市立多摩川小学校の庄子寛之指導教諭ら有志により企画されたもので、WEB会議サービス「Zoom」を通じて、日本をはじめ、シンガポールや香港、ベトナム、インドネシアなど世界の教育関係者約160人が参加し、活発に意見を交わした。

米国では新型肺炎の急速な拡大により、ニューヨーク州は現地時間3月22日夜から住民に対する外出規制措置を開始、隣接するニュージャージー州やイリノイ州でも同様の措置を取った。そのためニュージャージー州に本校を置くニューヨーク育英学園は、3月23日からオンライン授業の準備を始め、約1週間後の4月1日の始業式後には完全オンライン授業に移行。

報告者のニューヨーク育英学園、中村健人教諭は「終息したとしても、いずれまた同じようなことが起きる可能性がある。いつかに備えるためにも、オンライン授業に急務として取り組んだ」と話した。

幼児部ではライブ保育と録画保育を併用しているが、小学部では完全ライブ授業とし、教員も自宅からライブ配信で授業を提供する。オンライン授業の多くは事前録画した講義を学習者が視聴するという一方通行な形式になりがちだが、同校ではビデオチャットサービス「Google Meet」を活用し双方向性にこだわった。

授業時間は1コマ30分に短縮し、昼休みも午前11時から午後1時までと長めに設定することで、児童が長時間パソコンやタブレットの画面を見続ける疲労の軽減にも考慮したという。

中村教諭は「米国内の日本人学校のない地域の子供たちを、オンラインで救えるのでは」と話し、「新たな形の教育を提供できる」と可能性に期待を寄せた。

東京都中野区、宝仙学園小学校の吉金佳能教諭からも、同校の「オンライン学校」の取り組みが報告された。吉金教諭は「本校が実践するのはオンライン授業ではなく学校。学びだけでなく、安心や楽しさ、つながりを届けるもの」と述べ、児童とのコミュニケーションを重視した時間割を作成して、4月9日から全学年、全教員が参加しスタートしたと話した。

午前9時からホームルームを行い、各30分の授業を午前中4時間(低学年は3時間)実施。午後は任意参加とし、15分間のオンラインジム(体育)で身体を動かすプログラムや、ゲストスピーカーによる「HOSEN(宝仙) TV」も提供している。「HOSEN TV」では、卒業生が小学生時代の体験などを話し、任意でありながら約200人の児童が視聴しているという。

吉金教諭は「オンライン授業で大事なことはオフラインの充実であり、オンラインは学びの入り口」と話し、「両方をつなぐことをできるのが学校であり教師」と強調した。

同イベントを主催した庄子指導教諭は「このままでは学校再開しても、感染防止策などで対話もせずに黙々と授業をするようなことになりかねない」と指摘し、「教育関係者のネットワークで、オンライン授業の在り方を一緒に考えることで、『Withコロナ』時代のより良い教育が実践できるのでは」と語った。

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