【コロナと学校】「9月入学」の検討状況を説明 文科相

新型コロナウイルスの感染拡大で学校再開の見通しがはっきりしない中、萩生田光一文科相は4月28日の閣議後会見で、新入学と新学期のスタート時期を9月に変更する考え方について、「確かにメリットがいろいろある」と述べ、シミュレーションを重ねるなど文科省内の検討状況を明らかにした。同時に、「文科省だけで完結する問題ではない。入試や就職活動など社会全体で考えることが必要だ」と指摘。「オールジャパンで『子供たちの学びを確保するためには、もうこれしかない』と、本当に一緒に考えてもらえるなら、一つの大きな選択肢になってくる」と踏み込んだ。

9月入学の検討状況を説明する萩生田光一文科相

萩生田文科相は、休校長期化への懸念を背景に県知事や野党の一部から9月入学の検討を求める声が出ていることを受け、「いまは早期の収束に向けて感染拡大防止の取り組みを徹底した上で、子供の『学習の保障』のための取り組みを一層しっかり進めることが重要だ」と話し、現在の局面では学校再開に向けた努力が大切だとの考えを強調。

その上で、9月入学の検討状況について、「こうした事態が生じたときから、文科省内では一つの選択肢というか、考えていかなければならないテーマとして、さまざまなシミュレーションをしてきている」「文科省の中で完結できる課題については、すでに整理ができている。いまは他省庁や他の業界団体と、静かな環境で意見交換を続けているところだ」と明かした。

続けて「文科省だけで完結する問題ではない。社会全体に影響を及ぼすので、各方面との調整が極めて必要な案件だ。義務教育の小学校と中学校だけを9月に変えても、高校入試が変わらなければ、半年間のブランクができてしまう。大学もそうだと思う。その先には就職活動もある。社会全体で考えてもらわないとならない」と説明。「各方面から『萩生田大臣が決断さえすれば、できるんだ』というエールをもらうが、そういう単純な仕組みではない」と率直に話した。

県知事らから9月入学を求める声が出ていることについては、「決して否定はしない。ある意味、エールだと思って受け止めたい。膨大な事務作業を地方自治体も一緒になってやり、オールジャパンで『子供たちの学びを確保するためには、もうこれしかない』と本当に一緒に考えてもらえるなら、一つの大きな選択肢になってくると思う」と述べ、地方自治体や関係省庁、経済界などの協力があれば、9月入学への制度変更が実現する可能性もあるとの見方を示した。

政府は近く、5月6日を期限とした緊急事態宣言を延長するかどうか判断する。萩生田文科相の一連の発言は、緊急事態宣言が大型連休後にも延長され、臨時休校がさらに長期化した場合、9月入学が現実的な選択肢として浮上してくる可能性を受けたもの。

こうした踏み込んだ発言をした理由について、萩生田文科相は「私はこれまで言葉を選んできた。きょうかなり踏み込んで話をしているのは、(9月入学の検討を)『やっていない』というと心配だろうし、『やっている』と言えば、『本当にそうなるのか』とまた心配になると思うからだ」と話し、学校現場や保護者の不安解消のために検討状況を明かしたとの判断を説明した。

さらに、大型連休後に緊急事態宣言が延長された場合には「学校の再開は非常に難しくなる可能性もある」と指摘。「リスクをゼロにして学校を再開することは現時点では難しい。だからといって、このままずっと休校を続けていいのか。最終学年の中学3年生や小学6年生については、時間的な制約がある。そういう意味で段階的な再開も含めてガイドラインを発出したい」と述べ、連休前にガイドラインの再改訂を公表する考えを示した。

また、「確かに(9月入学には)メリットがいろいろある。国際社会で4月入学をやっている国は日本とインドぐらい。グローバル化社会を目指したときに、留学がしやすくなったり、海外から学生を受け入れやすくなったりというメリットもある。もし9月の新学期になれば、一度は中止したイベントも、もう一回ジャッキアップ(再浮上)することも可能になるかもしれない」と説明。

「そういう期待感やメリットもある代わりに、(9月入学は)社会全体で同じカレンダーを共有してくれないと(実現できない)。これは文科省だけで解決する話ではないと思う。静かに関係各省とも話をしながら、さまざまな準備やシミュレーションをしていきたい」と言葉を結んだ。

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