【コロナと学校】同時双方向型が鍵 遠隔体育教室に挑戦

全国の体育の教員や研究者らによる「体育ICT研究会」は4月27日から5月2日まで、ビデオ会議ツール「Zoom」を活用し、全国の家庭と教員をつないだ同時双方向型の体育のオンライン授業「放課後遠隔体育教室」の試みを始めた。初日の授業では、家庭でもできる新聞紙を使った体つくり運動や表現運動に挑戦し、各地に住む子供同士が発表や交流を行った。

自宅から遠隔体育教室に参加(鈴木准教授提供)

放課後遠隔体育教室は、休校の長期化で児童生徒の体力低下が懸念される中、これまで同研究会が培ってきた遠隔授業のノウハウを生かそうと企画された。27日午後4時から始まった第1回では、小学校高学年を中心に、北海道から広島県まで、20人以上の子供たちが各家庭からオンラインで参加した。

前半は、東京都江戸川区立新田小学校の石井幸司教諭が新聞紙を床に敷いて、ジャンプする運動を紹介。子供たちはZoomの「ブレイクアウトルーム」と呼ばれる機能を使って小グループに分かれると、それぞれが考えた跳び方を発表したり、同じ跳び方をやってみたりした。

後半は札幌市立北九条小学校の村上雅之教諭にバトンタッチして、子供らは「オンラインキャッチボール」に挑戦。村上教諭がボールや卵、熱いコンニャクなど、さまざまな物を投げる動作をすると、その動きに合わせてキャッチするポーズをしたり、物に合わせたリアクションをしたりした。

さらに、音楽を聴いてイメージしたものを体で表現する活動も行い、音楽から連想したことや体の動きの工夫を発表し合った。

参加した子供は「画面越しで行う体育の授業はやったことがなかったが楽しかった。もうちょっと体を動かしたかった」と感想を話した。

授業を行った石井教諭は「どの家庭にもある物を使って、子供たちが工夫できる活動を考えた。パソコンの操作にまだ慣れていなかったことを除けば、体つくり運動と表現運動なら、オンラインでも問題なく授業ができると感じた」と手応えを感じていた。

「オンラインキャッチボール」で子供たちに見えないボールをパスする村上教諭

一方、村上教諭は「オンライン上でのコミュニケーションはリアルな授業と違う。画面上から得られる情報量が意外と少ないことに気付いた。大きな動きでリアクションしたり、『ここまでは分かった?』と意識して確認したりする必要がある」と、学校での一般的な授業とオンライン授業の違いを指摘した。

昨年発足した同研究会はこれまで、海外を含む学校同士を結んだ遠隔合同授業や仮想現実(VR)を活用した新しい体育の実践に取り組んできた。

同研究会研究推進委員長の鈴木直樹東京学芸大学准教授は「家庭でできる運動など、さまざまな動画が配信されているが、動画を見ながら体を動かすだけでは、体力の維持にはつながっても、体育の授業としては成り立たない。同時双方向で子供や教員がお互いにコミュニケーションをしながら、学習と評価を一体的に行えるようにする必要がある」と、オンライン授業でも同時双方向型である必要性を説明した。

同研究会では、放課後遠隔体育教室の成果を踏まえ、5月12日午後5時から、小中高の教員を対象にした、遠隔による体育の授業に関する研修会を開催する予定。研修会への参加は同研究会ホームページから申し込みできる。

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