【コロナと学校】「首長は覚悟を」 文科相、再開促す

文科省が5月1日に出した、学校の段階的な再開のガイドラインとなる「学校運営上の工夫について」の通知について、萩生田光一文科相は同日の閣議後会見で、「未知のウイルスには、まだまだ不明な点がある。だからといって、学校がリスクゼロになるまで全く再開してはいけないのか。学習の保障は極めて大事だ」と、学校再開の重要性を強調。万一、再開後の学校でクラスターが発生した場合の責任について記者団に問われ、「国として責任を回避するつもりはない」とする一方、「自治体の首長が地域の実情をしっかり見極めて判断するしかない。首長は(選挙で)選ばれたときに、自分の街の学校責任者になる覚悟を持っていると思う」と述べ、自治体の首長に対して学校再開の道筋をより真剣に模索するよう求めた。

学校の段階的な再開について説明する萩生田光一文科相

通知の目的について、萩生田文科相は「社会全体が長期間にわたって、この感染症とつきあっていかなければならないという認識に立ち、その上で子供の健やかな学びを保障することと両立を図ることが大切」と指摘。「感染防止の取り組みを最大限実施し、可能な限り感染リスクを低減させながら、地域の感染状況を踏まえて、段階的に実現可能な学校教育活動を実施していくことが重要と考えている」と述べ、新型コロナウイルスのまん延が長期化するとの前提を踏まえ、学校を段階的に再開していく道筋を示したことを説明した。

続けて、学校現場に対し、「教育活動の再開は、感染症対策の取り組みが徹底して行われていることが大前提。教育活動の実施にあたっては最大限の警戒をして気を緩めることなく、組織的継続的に感染防止に取り組んでほしい」と呼び掛けた。

記者団との質疑応答の中で、萩生田文科相は、学校の再開には小中学校の設置者である市区町村の判断が重要と指摘。「非常事態宣言が延長されたとしても、感染拡大が拡大傾向にある自治体と、この1カ月間ほとんど新規の感染者がいない自治体に分かれている。都道府県のなかでも、市町村別にみると、全く感染と関係のない地域もある。そうなると、首長の判断で(段階的ではなく)フルスペックで学校を再開したいという自治体も出てくると思う」と述べ、地域ごとの状況に応じて学校再開を判断する必要があるとの考えを示した。

さらに今回の通知が、学校関係者と政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーなど感染症の専門家で構成する懇談会での意見交換に基づき、科学的な根拠を踏まえて作成されたことに触れ、「率直に言って、専門家もこの未知のウイルスについて、しっかりしたエビデンスを持っているわけではない。まだまだ不明な点がある」と述べた。

学校の段階的な再開を求める科学的な根拠について、「10代の感染者は数の上では増えている。しかし、死亡者はいない。重症者は1人だが、もともと基礎疾患のある人だった。そういう意味では、10代の子供たちの場合は、仮に感染しても多くは症状が出ないし、重症化しない。このエビデンスは専門家に確認してもらっている」と説明。

続けて「子供から子供への感染は、確認が明確にはできてない」と述べ、富山市で同じクラスの小学生4人と担任教諭1人の感染が確認されたケースを含め、「(学校が)クラスター化した実態は今のところない」と話した。

こうした科学的な根拠を挙げる一方、萩生田文科相は「密な接触を避けながら、学校の再開にトライすることについて、専門家から『感染拡大が長期化するならば、考え方の一つですね』と言ってもらった。この判断が『科学的な根拠に基づいたものなのか』と言われると、私もそこまでの自信はない。専門家も同じ思いだと思う」と、率直に現状認識を明かした。

その上で、今回の通知の考え方について、「いままでは(学校を)全て閉めようとしていたが、感染拡大をしっかりやれば、段階的に少しずつ学校現場を開けていけるのではないか。じっとしているだけでは何も解決できない。『一歩前に出てみよう』という判断だ」と説明。感染リスクをゼロにはできない現状を踏まえ、「仮に学校のクラスター化や、子供から子供への感染が確認されれば、率直に言って、学校の再開は全国的に難しくなってくる。そういう意味では、やや不透明な部分もあるが、感染拡大防止に努力しながら、できることをやってもらえないか、と思っている」と述べた。

学校再開の見通しが立たない現状については、「学習の保障は極めて大事。家庭学習で課題を課したり、ICTを活用したり、さまざまな工夫や努力を学校現場の先生方にやっていることには感謝したい。しかし、十分な学びの保障がなされているかと言えば、足らざるところがあると思う」と危機感を表明。「対面で勉強して初めて理解度を高める子供もいる。与えたものをしっかりやることでどんどん習熟度が増す子供もいる。個人差はさまざまだ。一日も早く学校現場できちんとした授業をやることで、子供たちの学習権を保障できるのだと思っている。そこに一日も早くたどり着きたい」と、再開を急ぐ必要を訴えた。

また、再開によって学校でクラスターが発生した場合の責任について記者団に問われると、萩生田文科相は「未知の部分が多いウイルスに対して、『どの状況で学校を再開して大丈夫なのか』『どこまでだったら平気なのか』『万一、学校内で発症者が出た場合の責任は誰にあるのか』と突き詰めていくと、この答えは『学校を閉めておく』としかならないと思う」と言及。

「私は国として責任を回避するつもりはない。(学校の段階的な再開を求める)ガイドラインを出す以上は、地方自治体と寄り添って、共に責任を分かち合って取り組みたいと思うが、自治体の首長が地域の実情をしっかり見極めて判断するしかないと思っている」と続けた。

また、「首長は自分の判断や責任でどこまで対応できるのか、すごく悩むだろう。けれども、首長は(選挙で)選んでもらう上で、自分の街の学校責任者になる覚悟を持っていると思う。それぞれの自治体が知恵を出し、それぞれの地域に合ったベストな方法を考えてほしい。必要な助言や指導はしていきたい」とも述べた。

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