【コロナと学校】地域別で段階的再開 緊急事態宣言延長

新型コロナウイルスの感染拡大を巡る緊急事態宣言について、政府は5月4日、新型コロナウイルス感染症対策本部を開き、全国を対象区域としたまま5月31日までの延長を決めた。記者会見した安倍晋三首相は「長期戦を覚悟する必要」とした上で、「経済社会活動を厳しく制限し続ければ、暮らし自体が立ち行かなくなる」と指摘。「段階的であっても子供たちの学校生活を取り戻していく」と、感染リスクを回避しながら地域の実情に応じて段階的な学校再開に踏み出す考えを表明した。文科省は緊急事態宣言の下でも分散登校によって感染リスクを回避する学校運営上のガイドラインを先に通知しており、連休明けから全国の自治体で学校再開の道筋を探る動きが本格化しそうだ。

新型コロナウイルス感染症対策本部で発言する安倍晋三首相(首相官邸HPより)

政府の対策本部では、基本的対処方針を変更し、特に重点的な対応が必要な「特定警戒都道府県」はこれまでの取り組みを継続する一方、それ以外の34県では、感染拡大の防止と社会経済活動の両立に配慮した取り組みに徐々に移行していく方針を示した。学校については、地域の感染状況に応じて段階的に教育活動を再開していく考えを明記した。

特定警戒都道府県は、北海道、茨城、東京、神奈川、埼玉、千葉、石川、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の13都道府県。特定警戒都道府県の追加や解除はなかった。

対策本部終了後、記者会見した安倍首相は「感染拡大の防止は命を守るための大前提。有効な治療法やワクチンが確立されるまで、ある程度の長期戦を覚悟する必要がある。しかし、経済社会活動を厳しく制限する今のような状態を続けていけば、暮らしそれ自体が立ち行かなくなる。コロナの時代の新たな日常を一日も早く作り上げなければならない」と説明。密閉、密集、密接の「3つの密」を生活のあらゆる場面で回避する重要性を強調し、国民に対して「ウイルスの特徴を踏まえ、正しく恐れながら日常の生活を取り戻していく」よう呼び掛けた。

続けて、学校の休校長期化について「子供たちには長期にわたって学校が休みとなり、友達とも会えない、外で十分に遊べない、いろいろと辛抱してもらっている。家族にも大変な負担をかけている」とした上で、分散登校の具体的な方策を示した文科省の指針に言及。「段階的であっても子供たちの学校生活を取り戻していく。学校においても新たな日常を作る取り組みを進める」と述べ、学校の段階的な再開に取り組む姿勢を示した。

記者団との質疑応答では、休校長期化に伴い、学びの遅れや格差への懸念について聞かれ、「子供たちが友達と一緒に勉強したり遊んだり、貴重な学びの場が失われてしまっているのは本当に残念。その中で子供たちの学びに著しい遅れが生じることがあってはならない。地域によって大きな格差が生まれることがあってはならない」と答えた。

また、1人1台端末の早期整備を目指すGIGAスクール構想に必要な予算措置を行ったことに触れ、「すぐに実現できるものではないが、相当頑張ってもらっている」と説明。「感染予防に最大限配慮した上で、分散登校による段階的な学校再開に向けた工夫も提示をしている。子供たちの学習機会の確保に向けて、地方自治体や学校現場と一体となって全力を尽くしていきたい」と述べた。

学校再開を巡る科学的な判断については、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が5月1日に公表した状況分析・提言で、児童生徒の学習機会の保障が重要であり、感染長期化を見越して持続的な対策が必要だと指摘した上で、「学校における感染およびその拡大のリスクをできるだけ低減した上で、学校の活動の再開のあり方について検討をしていくことが必要」との判断を示した。さらに「地域で、生活圏の流行状況によっては再び休校とするなどの判断ができるよう市町村や都道府県でも体制を構築するべき」とも付け加えている。

この専門家会議の判断を踏まえ、文科省は同じ5月1日に、学校の段階的な再開のガイドラインを示す「学校運営上の工夫について」を通知。緊急事態宣言の対象区域であっても、学校を再開するための道筋を示した。通知では、感染リスクが高いとされる「3密」を徹底的に避けるため、分散登校を行うよう明示。進路指導の配慮が必要な小学6年生や中学3年生、教師による対面での学習支援が特に求められる小学1年生を優先するよう求めた。また、音楽科、家庭科、技術・家庭科、体育科などの学習活動の一部や、運動会や文化祭、修学旅行などの学校行事は、3密を避けられないとして行わないことを明記している。


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